参議院議員選挙でも誤った情報が拡散 専門家訴え「情報を知りうる立場か、根拠、関連する情報を調べる」

7月20日に投開票が行われる参議院議員選挙。SNSで情報を集める有権者が増える中、SNS上の誤った情報を見抜くためにはどうすれば良いのでしょうか。
愛知県内の有権者1500人に対してテレビ愛知が実施した世論調査では、投票にあたって最も参考にする情報として16.8パーセントがインターネットと答えました。政治学を専門とする愛知学院大学の森正教授は、SNSが情報を集めるための重要なツールであることは間違いないとしつつも、誤った情報が含まれていることに注意が必要であると指摘します。
名古屋市長選挙でも候補者がデマに反論

SNS上で拡散された情報の検証記事を公開している日本ファクトチェックセンターの古田大輔編集長です。古田さんによると選挙期間の前後には特定の政党や候補者を持ち上げる、あるいは、おとしめるために誤った情報が拡散されやすいといいます。
日本ファクトチェックセンター 古田大輔編集長:
「発信源はある政党や候補者を応援したい人や、どこかの政党候補者に対して不満を持っている人というのが典型的です」

2024年11月に行われた名古屋市長選挙では、SNS上で拡散された情報について候補者自ら反論した事例がありました。市民税の減税について「効果を検証する」という立場を取っていた大塚耕平さんに対して、「増税派だ」という内容の投稿がSNS上で相次ぎました。
大塚耕平さん(2024年当時):
「増税派というデマ、レッテルを貼られているが、私は元祖減税派ですからね。国民民主党を作ったのは私ですから。国民民主党は(当時)消費税減税をガツンといっています」
参議院議員選挙でも誤った情報が拡散

日本ファクトチェックセンター 古田大輔編集長:
「あいつは増税派だっていうのはネット上で非常に拡散しやすい情報です。白黒はっきりしているとかそういったものは人の目をひきつけやすい。多くのニュースはそんなに簡単に、善悪や白黒がつかないものが多いんです。
一方で人気の投稿とかは『あいつが悪いんだ』『これが問題なんだ』みたいにわかりやすい。なので人の目をひきつけやすい効果がある」
選挙不正に関する情報が拡散

また、今回の選挙では投票に関する誤った情報が拡散しているといいます。日本ファクトチェックセンターの検証記事によりますと、「期日前投票は不正し放題」「鉛筆で書かせるのは書き換えるため」などの選挙不正に関する情報が拡散していますが、いずれも根拠がないか誤った根拠に基づいていると結論付けています。
日本ファクトチェックセンター 古田編集長:
「今回特徴的なのが『ボールペンで書かないと、書き換えられるから気をつけろ』というのが広がっています」

名古屋市の選挙管理委員会によりますと、期日前投票の投票箱は複数の鍵を付けて投票所で保管していることや、開票時には誰でも見られる状態にしていることなどから、票の書き換えが起こることはないということです。
日本ファクトチェックセンター 古田編集長:
「その国の民主主義に対する信頼性・正当性を傷つける(ことが目的)。これは意図的にやっている人もいれば、意図的でない人もいます。
そもそも不信感が高まっている人たちはそれに近いような情報が流れていたら、『やっぱりそうなのか』『私が信頼していない国は、こんなに悪いことをやっている』と言いたがるので、こういう情報が拡散しやすいんです」
誤情報を見抜く3つのポイント

古田さんは誤った情報を見抜くために、3つの確認をしてほしいと呼びかけています。
・発信源の確認
・根拠の確認
・関連情報の確認
日本ファクトチェックセンター 古田編集長:
「発信源は、その情報を発信している人はその情報を知りうる立場の人ですか? ということ。
2つ目が根拠です。全然根拠が書かれていないのに、断定的に書かれている投稿が非常に多い。その場合は『根拠が書いていない』とすぐに信じるのを止めてもらいたいです。
3つ目は関連する情報を調べること。ある情報に対して詳しい人は1人だけではないはず。例えば公的な機関や研究機関、専門家、報道機関、ファクトチェック団体など、さまざまな情報と比べてみて、『この情報はここら辺が不明確だから、信じないほうがいいな』『シェアしないほうがいいな』と考えてほしいです」
今回の参院選の愛知選挙区は、改選議席4に対し現職、新人あわせて14人が立候補しています。このうち10人は国政政党10党いずれかの公認か推薦を得ています。参議院議員選挙は、7月20日投票、即日開票されます。