
国内唯一『ラッコ』が見られる鳥羽水族館 水槽前での観覧時間を“1分”に制限「1人でも多くのお客様に平等に」


可愛らしい姿で人気の「ラッコ」ですが、日本の水族館で見られるのは三重県鳥羽市の鳥羽水族館だけとなりました。見学者が増える中で、多くの人に見てもらおうと、2025年3月17日からは見学時間を「1分」とする新たなルールが始まりました。
■混雑避けるため…見学に『1分』の時間制限 「意外と満足」の声も
鳥羽市にある鳥羽水族館では、ラッコのメイとキラが人気物となっています。

可愛らしくクルクルと泳ぎ回る姿に子供も大人も夢中ですが、3月17日から、混雑を避けるためラッコの水槽の前で見られる時間が「1分」に制限されました。

1分が経つと、水槽から離れて次のグループが案内されます。

来館者: 「(Q1分は短い?)意外と満足。ちょうど楽しめる」 「あっという間でしたね。前来た時は滞留あったので、見やすくはなった」
■見るにはどうする?列に並んで“1分ごとに10人” 実際に並んでみた結果は
今、日本の水族館でラッコが見られるのは鳥羽水族館だけです。

2025年1月、福岡県福岡市の「マリンワールド」にいたオスのラッコが死んでしまい、それ以降、訪れる人が増えているといいます。 鳥羽水族館企画広報室の中村文哉さん: 「ラッコを見学したいという声をすごくお寄せ頂くことになって。ぜひ鳥羽水族館としては、到着時間に関わらず、1人でも多くのお客様に平等にラッコを見学いただく機会をと、この方法を導入しました」 時間制限は、“より多くの人に間近でラッコを見てもらいたい”と始まりました。見学するには列に並び、1分ごとに10人が水槽の前に移動します。

3月19日、記者が実際に列に並んでみると、順番が来るまでおよそ25分かかりました。しかし、並んでいる間も2列目くらいからはラッコを見ることもでき、そこまで退屈する感じはなく、1分でしたが可愛いラッコを楽しむことが出来ました。
■輸入が途絶え今や国内2頭に…ラッコを守るために出来ること
ラッコはかつて、全国の水族館に100頭以上いたといいます。日本に初めてやってきたのは1982年で、その翌年には鳥羽水族館にも登場し、ラッコブームとなりました。

しかし、水族館での繁殖が難しいことや、主な生息地であるアメリカからの輸入が途絶え、今では鳥羽水族館の2頭だけです。

お客さんに大人気のメイとキラは共にメスで、20歳と16歳と、ラッコとしては高齢です。 鳥羽水族館では、プールの水温やエサの量などを42年間1日も欠かさずノートに記録し、大切に育ててきました。

ラッコの体調に応じて選べるように、水槽ごとに水温や気温を変えているといいます。 飼育研究部の石原良浩さん: 「新しいラッコが入ってくるといいんでしょうけど、それよりも、この2頭をとにかく元気に少しでも長く生かしたい。面倒見たい。それが、自分たちの責任」 みんなに愛され続けるメイとキラ。ルールを守って温かく見守っていくことが大切です。