
“へこへこ泳ぎ”で平泳ぎ日本新!三重県出身のスイマー・谷口卓選手23歳、異次元フォームで狙う、ロス五輪への切符「あと0.5秒早くなればメダルが見えてくる」

50m平泳ぎで日本新記録を打ち立てた、三重県四日市市出身・谷口卓選手。記録更新を生み出した、異次元フォーム「へこへこ泳ぎ」とは。
平泳ぎで日本新記録を樹立!パリオリンピックにも貢献

三重県四日市市出身の谷口卓選手(23歳)が、50m平泳ぎで日本新記録を樹立。記録更新の舞台となった、愛知県豊田市にある『中京大学』のプールサイドを訪れました。
多くの選手がクロールで泳ぐなか、圧倒的な速さで平泳ぎをする1人の選手の姿を発見!この選手こそ、5月に日本記録を更新したばかりの谷口卓選手です。

昨年、3種目でパリオリンピックに選出された谷口選手。池江璃花子選手も出場した混合メドレーリレーでは、平泳ぎ泳者として8位入賞に貢献しました。今月シンガポールで行われる、世界選手権にも出場します。
谷口選手が日本新記録を出した、50m平泳ぎ。実はこの種目、3年後のロスオリンピックで追加される注目の種目なのです。
強みは日本人離れしたパワー!「1ストロークの出力が大きい」

谷口選手が出した日本新記録は、26秒91。一体、どのくらいの速さなのでしょうか。そのスピードを、速度を変えられる流水プールで体感してみました。

その速さは、まさに激流!手を入れてみると、水流は水しぶきをあげてゆがみ、流れの激しさを目で見ることもできます。

そんな流れの速さを、「台風のときぐらいの川」と例えた谷口選手。しかし、そんな激流のなかを谷口選手は余裕で泳いでいきます。その秘密は、日本人離れしたパワー!小さい頃から短距離が得意だったという谷口選手。「1ストロークの出力が大きい」と自身の強みを明かしました。
スランプを打破した秘策「へこへこ泳ぎ」とは?

0歳から水泳を始めたという谷口選手。持ち前のパワーで、“100m平泳ぎ中学新記録”、“50m平泳ぎ高校新記録”と中学・高校ともに学生新記録を更新し、トップを走り続けていました。
そして、大学に入ると、食事も改善してよりパワーアップした体に!しかし、大きな壁にぶつかります。

谷口選手:
「大学に入ってすぐは伸び悩んだりした。ずっとトップだったので、そのままだろうと思ってた」
パワーに頼る泳ぎで体に負担がかかってしまい、腰のヘルニアを発症。手術を受けましたが、記録が伸び悩む“スランプ”に陥ってしまったのです。

そんな状況から抜け出すため、谷口選手は中京大学水泳部の高橋繁浩先生と日々研究。泳ぎ方を一から見直すことにしました。

その結果、編み出された秘策が“へこへこ泳ぎ”。手と足を使わず、胴体の上下運動による“へこへこ”とした動きで、前に進んでいくオリジナルの泳法です。

以前は、手と足のパワーだけで泳いでいたため、腰に負担がかかっていましたが、“へこへこ泳ぎ”を極めたことで、腰の負担も軽減。手と足のパワーに頼らず、力まなくても楽に前に進めるフォームを習得したのです。
持ち前のパワーも相まって、再び記録が伸び始めた谷口選手。パリオリンピック後も進化を続け、日本記録を更新することができたのです。

“へこへこ泳ぎ”を極め、目指すはロスオリンピック!谷口選手は、「あと0.5秒早くなればメダルが見えてくる。メダル獲得を目指して、頑張っていきたいと思う」と意気込みを語りました。