5年に1度の国勢調査が「調査員の不足」で大きな岐路に 調査員不足の原因や影響を徹底取材

国勢調査が現在、行われています。でも、この国勢調査は今、大きな岐路に立たされています。背景にあるのが調査票を配って回る「調査員」の不足です。一体何が起きているのか、取材しました。

国勢調査は5年に1度、日本の人口や世帯の実態を把握するために日本に住んでいる全ての人や世帯を対象に行っている調査です。回答は義務であり、拒否をしたり虚偽の報告をしたりすると50万円以下の罰金が科される可能性があります。回答項目は氏名や性別といった基本情報のほか、現在の住所に住んでいる期間や仕事の状況などです。
調査結果は、行政面では少子高齢化対策や防災計画を考えるための基礎資料や衆議院議員選挙の区割りの決定に活用されています。また、大学の学術研究や民間だと、コンビニの出店計画にも使われています。回答方法は、インターネット、郵送、または調査員に提出で、回答期限は、10月8日(水)までです。

ただ、調査員が不足していることが課題になっています。総務省によると、前回の2020年の調査は全国で約70万人の調査員が必要で募集をかけましたが、実際は約61万4000人とかなり不足している状況でした。
調査員が不足している要因は、「調査員の負担の増加」です。近年は、オートロック付きの住宅が増えてきていて、世帯ごとに調査員が接触することが難しい状況です。また、プライバシー意識の高まりで回答の拒否や、居留守を使うというケースも増えています。
このように調査に協力してもらえない状況が続くと、調査員の皆さんが心身に負担を感じてしまい、その不足につがっているということです。

愛知県では、今回の調査は約4万人の調査員が必要でしたが、実際は9月中旬時点で集まっているのは約3万8600人と少し足りない状況になっています。また、前回よりも愛知県内では世帯の数が増えていて、調査表の配布や回収といった仕事も増えているため、1人当たりの負担が増えています。
愛知県 県民文化局 県民生活部 統計課 国勢調査担当者によると、前回よりも調査員の報酬を増やすなどして人員の確保に努めたのですが、まだ厳しい状況だそうです。
調査員の多くは高齢者であり、今後さらに減ってしまう可能性もあるということでこのままの形で調査を続けるのは難しいのではないかという不安の声もありました。

今回の調査では、東京都新宿区や茨城県水戸市などの自治体が約2000世帯を対象に調査票の郵送配布を試験的に行っています。現在は、調査員から原則、対面で調査表を渡していますが、一部を郵送にすることで調査員の負担を減らして人手不足の解消につなげたいとしています。

愛知県 県民文化局 県民生活部 統計課 国勢調査担当者によると、必要な政策や適切なサービスの提供のためには正確な調査結果が必要なので、期限までに回答をしてくださいということです。今回の調査は、配布書類のQRコードをスマートフォンで読み取ると、ログインIDやアクセスキーがこれまで手入力であったものが、自動で入力してくれるというシステムになっていて、こちらの活用を県が勧めています。
また、県は国勢調査を装った不審なメールや電話が増えていますが、国や自治体がメールや電話で調査をすることはないので、引っかからないように注意してくださいと呼びかけています。
国勢調査は、今後の私たちの生活にも関わる大事な調査になっていますので、皆さん回答をよろしくお願いします。