
「階段は恋人」世界ランキング6位は…32歳の僧侶 高層ビル駆け上がる注目の競技「ステアクライミング」

いかに早く階段を上れるかを競う「ステアクライミング」。この競技で世界トップクラスの実力を誇り、ある異名を持つアスリートの素顔に迫りました!
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階段への並々ならぬ思いを語っているのは名古屋市中村区出身、矢島昭輝選手(32)。超高層ビルやタワーの階段を勢いよく駆け上がり、ゴールまでのタイムを競う「ステアクライミング」の選手です!
(矢島選手)
「適性があるなと思って。他の競技や勉強では感じられなかった達成感や自分に合うものがあった。階段が呼んでいる」
矢島選手はステアクライミングで現在日本ランキング2位、世界ランキングでも6位のトップアスリート!
ステアクライミング界で大きな存在となっている矢島選手。
しかしその正体は…
なんと僧侶なんです!矢島選手が生まれ育ったのは名古屋市・中村区にある太閤山常泉寺。江戸時代から400年以上も続くお寺で、豊臣秀吉生誕の地ともいわれているんです。
僧侶でありながら、ステアクライミングの選手という2足の草鞋を履いた矢島選手。そのため、つけられた異名は…
階段を走る僧侶“階段坊主”
(矢島選手)「“階段坊主”と呼ばれている」
階段を走る僧侶ということで“階段坊主”と呼ばれているんです!
(矢島選手)「メダルを本堂の前に飾ってあります。去年行われた上海のメダルとかマカオのメダル。台湾のメダル…」
(スタッフ)「日本だけではなく、世界も?」
(矢島選手)「去年だと4か国行った」
体を見せてもらうと…
太ももは女性のウエストサイズ
(スタッフ)「うわ…太い!足!階段だけで作り上げられた筋肉?」
(矢島選手)「そうですね。重いものを上げるというトレーニングはゼロ」
鍛え抜かれた太ももは…なんと周囲63センチ。女性のウエストほどもあるんです。
(矢島選手)
「5年前に出会ってしまって、お互いひとめぼれ。恋に理由はない」
矢島選手が階段に恋をしたのは27歳の時。もともと知り合いだったステアクライミングのトップ選手・涌嶋優選手から大会へ出場を誘われたことがきっかけでした。
(涌嶋選手)
「『来月に名古屋でレースがあるよ』と声かけをしたら出場してくれた。そしたら一発で負けた。今まで積み重ねてきたこともあるから、さすがに負けないと思っていたが思いのほか早かった」
初めて参加した大会でなんと並み居るトップ選手たちを差し置いて、いきなりの優勝!
(矢島選手)
「何十人も抜いていった。途中で給水もしてカメラマンにピースをしながらゴールしたら1位だった。大会運営者からも『こんな人は初めて見た』と言われた」
なぜ僧侶がここまでの肉体や精神力を手に入れることができたのか?そして、なぜいきなり結果を出すことができたのか?そこには意外な事実が…
山頂のお寺まで4時間以上の険しい道
(矢島選手)
「体力的な基礎は、自分が修行をしていた山のお寺の参道を駆け巡る生活で養われた」
強さの秘密は山梨県にある標高約2000mの雄大な山、七面山。矢島選手が27歳のころに修行していた敬慎院は、この山頂にあるお寺。たどり着くまでに4時間以上も険しい道を登らなくてはならないんです。
(矢島選手)
「山の上が断水したら水を何十キロ持って上がるとか、時にはお年寄りを背負って山を上がるという日々。1日ずっと正座をするという修行。4時間くらい正座をしていると失神する。階段を上ってしんどいですけど失神はしない。修行よりは楽」
修業時代に経験した、想像を絶するような過酷な日々。これが体力や精神力などステアクライミングで勝つ為に必要な強さの基盤を作り上げていたんです。
(矢島選手)
「お寺に生まれてお坊さんになって、階段に必然的に出会った。運命。恋人かなと思っている」
運命の恋人と出会った矢島選手が目指すのは、世界の頂。「階段坊主」の今後の活躍から目が離せません!
CBCテレビ「チャント!」2025年3月10日放送より