「名港トリトンを封鎖せよ」 伊勢湾岸道の夜間の集中工事にカメラ密着 橋の鉄塔での点検に取材班ひやり

3月19日まで行われている伊勢湾岸道の集中工事。夜間一部区間を通行止めにして工事が行われています。どんな工事が行われているのか、地上と空からその一部始終を取材しました。

午後10時すぎの刈谷ハイウェイオアシス。ネクスコ中日本の管理車両7台が1列になって、伊勢湾岸道を進みます。指揮者の合図で2台の車両が中央の車線に。そのうち1台はさらに右側の追い越し車線へ移動しました。
管理車両は3車線を横1列に並んで走行して、車の流れをコントロールします。

ネクスコ中日本 籾山大輝管理担当課長:
「20.9キロポストに到達。これより先頭固定を開始とします。追上車は追い上げを開始してください。先頭固定車両は速度30キロでお願いします」
すると、時速40キロで走行していた前方の管理車両が時速80キロまで一気に加速。速度差を利用して、車がいない区間を作ります。
その安全な区間を利用して、東海JCT付近ではパイロンや看板などを作業員が設置しました。
午後11時すぎ、東海JCT封鎖

今回、集中工事で夜間に通行止めをしたのは東海JCTと飛島JCTの間です。通行止めの目的の1つがアスファルトの舗装工事。
ネクスコ中日本 長島理人さん:
「かなり損傷が激しくなっているような状況です」
伊勢湾岸道では経年劣化や大型車の増加などで、道路には多くの穴が確認されていました。これまで穴のみを補修してきましたが、半年ほどで再び穴ができてしまうことも。そのため、抜本的な舗装工事が必要なんです。
アスファルトの舗装を打ち換える

通行止めの先では、アスファルトを剥がす作業が行われていました。アスファルトを剥がす秘密マシーンが、日本に4台しかない「IH式加熱機」です。

伊勢湾岸道の舗装は下から順に鋼の床板、防水性と平たん性を保つアスファルト、透水性の高いアスファルトの3つで構成されています。まずは一番上のアスファルトを剥がし、次にIH式加熱機を使って鋼の床板を温めます。すると、2層目のアスファルトとの接合面が柔らかくなるんです。

新しいアスファルトを乗せた車が到着したら、機械にアスファルトを流し込んでいきます。
ネクスコ中日本 長島理人さん:
「240度あります。温度が高くないと流動性が上がらなくて、施工しにくいという特徴があります」
アスファルトが均一になるように、機械のスピードや振動などをこまめに制御しながら作業を進めます。

最後に人の手でならして作業は完了。1時間に進めるのは50メートルほどです。今回の集中工事では約880メートルの舗装を6日間で打ち換えました。
午前1時半すぎ、命綱1本を頼りに名港中央大橋を点検

次に向かった先は、高さ約190メートルの名港中央大橋の最上部。エレベーター5階まで上がり、はしごを登ります。そして作業員が塔の外に出て、太さ10.5ミリの命綱1本を頼りに降りていきます。
銅の塗装が約40センチにわたって剥がれ落ちていたため、写真を撮影していました。
ネクスコ中日本 小宮聖子係長:
「海の上にある橋なので、潮風とか雨水とかが構造物に悪影響を与えて損傷が出ている状況です」
この日は風の影響で塗装することはできませんでしたが、道路だけでなく橋の異変を調べて直すのも重要な仕事の1つです。

ネクスコ中日本 小宮さん:
「上空での作業になり、物を落としてしまう危険性はゼロではないので、第三者被害をなくすために、通行止め作業が重要になってきます。ご迷惑をおかけしているのですが、大規模規制の必要性をご理解いただけたらなと思っています」