
【やりとり公開】全国で急増“警察の番号”を偽装する電話 愛知県警の番号からかかってきた電話の内容とは…

名古屋市に住むある男性のスマホの着信履歴。「052」の市外局番からかかってきている番号。これは愛知県警本部の番号です。いま、全国的に増えている「警察の番号を偽装した電話」。男性は電話のやりとりを録音していました。

3月10日、名古屋市に住む男性にかかってきた1本の電話。
□電話口の男:「もしもし?もしもし聞こえますか?」
電話口の男は愛知県警の警察官だと名乗ります。発信元の番号を検索するアプリで表示されたのは愛知県警本部の代表番号。しかし、これは全くのウソ。実在する警察の電話番号を装っていたのです。
□電話口の男:「出頭命令書が届いているはずなんですが、いまだに連絡がないというお電話があり連絡させていただいています」
男は、男性に出頭命令が出ているといいます。
■電話を受けた男性:
「共有電話帳アプリのようなものを入れていて、052の固定電話で愛知県警とわかった。警察から電話がかかってくるなんて身に覚えがない」
最近、増加している警察署等の番号を装った電話。
愛知県警本部の代表番号を装った詐欺電話による被害額は、今年に入り3月25日まで約1400万円にのぼるといいます。

電話を受けた男性は不審に思い、とっさに通話を録音しました。
■電話を受けた男性:「マツオ?」
□愛知県警を名乗る男:「マツオアキラが大阪府警のほうで」
■電話を受けた男性:「マツオアキラ?」
□愛知県警を名乗る男:「はい。マツオアキラを大阪府警で逮捕しまして、自宅から数千枚の銀行のキャッシュカードと通帳を押収している状態なんですね。その中の1枚が(男性)さんのキャッシュカードが入っていたんですね。で、それに伴いまして、マツオアキラが(男性)さんのキャッシュカードでマネーロンダリングという犯罪に使用されてしまっている状況」
男は、大阪府警が逮捕したマツオという人物の家から男性名義のキャッシュカードが押収され、犯罪に利用されているといいます。
もちろん男性には全く心当たりのない話。
■電話を受けた男性:
「自分の直接の知り合いではない、マツオアキラは(知り合いに)いない。全体的なつじつまが合わなかったので、詐欺グループによるものではないか」

男性は内容がウソではないか思ったといいますが、その後も会話を続けるとー。
□愛知県警を名乗る男:「もし本当に(男性)さんの言うように、口座を開設したこともなく、資金洗浄に加担していないなら、なおさら事件を捜査している大阪府警の方に詳しく説明をお願いしたいです」
■電話を受けた男性:「じゃあ大阪府警にこちらから電話すればいいってことですね」
□愛知県警を名乗る男:「いやこちらから全然電話させていただいてもいいですよ、大阪府警の担当に」

その後、実際に大阪府警の番号から電話がかかってきましたが、男性が通話の録音を開始したところ電話は切れたといいます。
警察によると、このような会話の後、あなたのお金が犯罪に関わっているか調べるなどといい、金銭を要求されることが多いとして注意を呼びかけています。
なぜ“警察の番号”になりすませるのか

最近よく聞く「警察の番号」になりすました電話ですが、なぜ特定の番号になりすませるのでしょうか。
これは「スプーフィング」という技術が関係しているといいます。「スプーフィング」とは、例えば自宅等でリモート勤務しているとき、取引先などに電話をしたい。でも個人の電話からじゃなく信用度がある会社の番号からかけたいというニーズを受け、社外にいても会社の番号で電話をかけることができる技術です。
警察はこうした技術が悪用された可能性あるとみています。

愛知県警によると、「県警本部」は一般人に電話かけることは原則なく、「警察署」は一般人に電話かけることはあるが、電話で事件の具体的な話をすることは絶対にないといいます。
対策としては、警察の番号からの電話でもすぐには信用しないこと。「スプーフィング」の技術を使ってかかってきた着信履歴に「折り返し」かけ直すと、名前の表示先(ここだと本物の愛知県県警本部)に繋がるということで、焦らず一旦電話を切り、折り返し電話をして確認するのが有効ということです。愛知県警は、不審に思ったら警察相談ダイヤル「#9110」に電話をして欲しいと呼びかけています。