
【アナウンサーが中日新聞コラムを朗読】6月10日(金)アナよみ春秋
中日新聞の看板コラム「中日春秋」を東海テレビ&CBCテレビのアナウンサーが朗読します! 「中日春秋(ちゅうにち・しゅんじゅう)」は、中日新聞の朝刊1面に毎日載っているほぼ555文字の文章。 書いた人の意見や考えが含まれた「コラム」と呼ばれる読み物です。 ▼「○○円でどうだ。こんだけまけても、まだ買わねぇか」。こんな口上で、売り手が買い手と掛け合うバナナのたたき売りは、大正後期に始まった。日持ちしないゆえの安売り。発祥の地は台湾産バナナが集積した北九州の門司港という ▼台湾産は明治期から入り、昭和の高度成長期に急増した。台湾の台風被害の影響で一九七〇年ごろは、赤道下の南米エクアドル産が台湾産を日本で凌駕(りょうが)。その後はフィリピン産が席巻し、最近は輸入の八割近くを占めている。『バナナと日本人』(鶴見良行著)などに教わった ▼今、その主産地が価格引き上げを訴えている。フィリピン政府が、日本の小売業団体に理解を求める申し入れを行った。肥料や農機具を動かす燃料の価格が高騰し、生産者の利益がほとんど出ないという。かさむ経費を価格に転嫁できず、買いたたかれているということだろう ▼駐日大使は記者会見で「困窮するバナナ農家に希望を与えてほしい」と力説した。経済の変調のしわ寄せが、特定の人たちだけにいくとすれば、正しいことではない ▼まど・みちおさんの詩に『バナナの うた』がある。冒頭を引く。<せきどうを こえて/きたのか バナナ/まなつの におい/まひるの におい/まなつの まひるの/はたらく ひとの におい> ▼赤道ほど遠くはないが、かの南の島で汗を流す人にも思いをはせたい。
07.11(月)12:00放送