
2022年12月5日放送
アナよみ春秋
中日新聞の看板コラム「中日春秋」を東海テレビ&CBCテレビのアナウンサーが朗読します!
「中日春秋(ちゅうにち・しゅんじゅう)」は、中日新聞の朝刊1面に毎日載っているほぼ555文字の文章。
書いた人の意見や考えが含まれた「コラム」と呼ばれる読み物です。
▼ 一九七六年六月二十六日は何曜日だったか。格闘技世界一決定戦のムハマド・アリ対アントニオ猪木が日本武道館で行われた日である
▼間違いなく、土曜日だった。どちらが勝つか。アリだろう。いや猪木がアリを捕まえれば。一番強い者に憧れる。中一とはそういう年ごろだろう。部活を無断で休み、テレビ中継を待つ。パート勤めの母親が出がけに作ったカレーを昼に一人で食べる。つまらぬことまで思い出す
▼猪木はリング上でずっと寝ている。アリのパンチを避け、ローキックを狙うためだ。それは分かっているのだが、次第に悲しくなってくる。猪木よ、それでいいのか。引き分け。世紀の一戦は「世紀の凡戦」となる
▼昭和の中学部活の上下関係のおっかなさは説明するまでもないだろう。土曜日に部活をサボった一年全員は後で先輩に呼び出され…。あの日が土曜日だったことを忘れるはずもない
▼アントニオ猪木さんが亡くなった。七十九歳。昭和、平成を輝かせた強烈な光が今消える。寂しい。国会議事堂の中でよくお見かけした。自分と同じぐらいの背丈だったのが意外だったが、リングでは「闘魂」がその体を大きく、たくましく見せていたのだろう。アリ戦にしても負けなかったではないか
▼コーナーから猪木が疾風のように飛びだしていく。ファンの胸の中でそれぞれに光り輝く猪木が今、マットの中央へ。
中日新聞の看板コラム「中日春秋」を東海テレビ&CBCテレビのアナウンサーが朗読します!
「中日春秋(ちゅうにち・しゅんじゅう)」は、中日新聞の朝刊1面に毎日載っているほぼ555文字の文章。
書いた人の意見や考えが含まれた「コラム」と呼ばれる読み物です。
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