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辻発彦×平田良介 落合博満監督時代の「中日ドラゴンズ」秘話 二軍の選手を一軍に上げる際のルールとは?

8年間にわたり、中日ドラゴンズで指導者を務めた往年の名ショート・辻発彦が、辻二軍監督の下で大活躍した平田良介と、当時のドラゴンズの思い出を語り尽くす。平田が“優勝請負人”と呼ぶ、辻流、監督・コーチ論も!

【動画を見る】<辻二軍監督時代の話>落合監督にお願いして史上初!?の二軍もビールかけ!毎日一軍の試合をチェックする二軍監督の苦労話

監督は最後の砦。辻が求めるコーチ像とは?


選手時代は10回のリーグ優勝、7回の日本一という輝かしい経歴を持つ辻。その後は、ドラゴンズの二軍監督として‘07年と‘09年にウエスタンリーグで優勝、日本選手権では、2回も日本一を獲得している。「優勝はいっぱい味わってきたので、そういう運を持っているのかもしれない。あの頃のドランゴンズの選手も良かったけどね」と語ると、優勝を選手として支えた平田は、「優勝請負人ですね」とコメント。



辻がドラゴンズの二軍監督になったきっかけは、落合博満監督からの電話だった。2006年、第1回の「WBC」でコーチをやり終えたタイミングで、落合監督から直々に「ウチに来い! 二軍監督をやってくれ」と言われて引き受けたという。辻が監督という肩書を持つのは初めてのことだった。



平田がコーチと監督の役割の違いについて質問すると、「監督は最後の砦だと思っている。監督が1人ですべてのことをやってしまうと、チームはうまくいかない」と持論を展開。

「周りにコーチがいるわけだから、コーチ一人一人に責任を与えて任せないとダメ。だから監督は、コーチを育てる仕事も担っている。監督は、コーチに意見を言わせることが大事」(辻)。
例えば、監督から「どのピッチャーを使うべきか」意見を求められた時、コーチは「2人いますがどちらにしますか?」と相談するのではなく、「このピッチャーを出してください」と主張できるのが理想だそう。「監督はすべてのことを見ているので、1つのことに集中できない。だからこそ、投手・打撃・守備と専門分野のコーチがいるわけで、『この選手でお願いします!』と言い切ってもらわないと監督は困る」という辻の話に、「会社経営に似ていますね!」と納得する平田だった。


辻二軍監督時代、一番の思い出は?


‘07年からドラゴンズに加わった辻は、選手たちに対して、「よく練習するなぁと。能力が高い選手が多い」という印象を抱いたそう。一番思い出に残っている試合は、山形県で行われた「ファーム日本選手権」での巨人戦。0-2から逆転して7-2で勝利し、日本一を獲得した。

平田は、この試合で大活躍。「ここで人生の分岐点があったのかなと思います。これがなかったら一軍にも呼ばれてなかったし、日本シリーズにも出られなかったと思う」。平田にとっても、印象に残る試合だったようだ。



この時の思い出は“ビールかけ”だったと辻。「寮に缶ビールの差し入れが来ていると聞いたから、落合監督に『ビールかけしていいですか?』と聞いたら、『おお、やれやれ』と喜んでくれて、ナゴヤ球場の隣でビールかけして…。唯一、二軍の優勝でビールかけしたことがあったね(笑)」。平田も「“ビールかけ、二軍でもあるんや!”と思ってビックリしました。めちゃくちゃ記憶に残っています」と笑顔に。



ここで平田が現役時代の自分の印象を尋ねると、辻は「お前は、まったく読めない! でも、能力高いなと思ったよ。足がめちゃくちゃ速いわけでもない、肩もめちゃくちゃ強いわけでもない。ただ、走塁技術、球を捕ってからの速さと正確さ、そこはずば抜けていた。これはやっぱり大阪桐蔭すごいなぁと思った」とコメント。野球の名門・大阪桐蔭高等学校出身の平田を高く評価していたことを明かした。


どう決める? 一軍に選手を推薦するタイミング

さらに平田が、「辻さんが僕を一軍に推薦する時、落合監督とどんなやりとりがありましたか?」と聞くと、辻は一軍と二軍とのやり取りについて明かす。

一軍に選手を送る役目を担う二軍監督の心得について、辻は「一軍の試合を常に見ないといけない。昼間は二軍の試合をして、夜はずっと一軍の試合を見ている」と語る。一軍選手のコンディションをチェックして、「この選手は調子が悪いから、代わりの選手が必要になるかもしれない…」と予測を立てながら準備する必要があるとのこと。

一軍の試合が終わると、必ず監督付きのマネジャーから電話があり、監督に「右の代打は誰?」「左の代打は誰?」と聞かれたそう。




辻が二軍の選手を一軍に上げる際のルールは、「まあまあの調子の選手は上げない。“これは推薦できる”という調子の良い選手を上げる」。これが一番大切だと力説する。
「選手は、調子が良い時に一軍に上げられれば、結果を出せず、また二軍落ちしても納得できる。調子がそれほど良くない時に一軍に上げられて、もし結果を出せなくて再び二軍に落とされたら、選手本人も納得がいかない」(辻)。

こうした理由から、落合監督が直々に名指ししても、待ってもらうことがあったという。「常に電話をそばに置いて、試合が終わったら“電話が来るかな”と思って待っていた。二軍監督の時は、夜も落ち着かなかった」と、当時の緊張を打ち明けた。



そんな辻は、‘10年から一軍コーチに就任。平田が、「シーズン中、監督・コーチ陣はどんなミーティングをしていたのか」と聞くと、「監督が話すことはなかったかな。先発メンバーを決める時は、ヘッドコーチが打撃コーチと話して打順を決め、それを見た監督がOKを出したり、ちょっと変えたりしていた」(辻)。辻が二軍監督時代に心がけていたコーチ陣とのやり取りが、一軍でも実践されていたわけだ。

最後に辻は、「中日での8年間は濃かったね。本当に勉強になった」と、感慨深げな表情でドラゴンズへの熱い思いを語った。


チャンネル名: TVA スポーツ CH
チャンネル URL
https://www.youtube.com/@TVAsportsCH/featured

配信内容:中日ドラゴンズを中心に、愛知県のプロ&アマチュアスポーツ情報を配信。バンテリンドームナゴヤでの試合をテレビ愛知が中継する日は、ドラゴンズの試合前練習をライブ配信予定。
配信日時:不定期