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帆船模型の作り方 キットにない"帆"を手作りして完成度を高めよう

帆船模型

大きな帆を携えた帆船をモチーフにした帆船模型は、元来帆船を造る際の資金源として作られたのが始まり。現在は趣味として残り、世界中に愛好家が存在します。今回は特にリアリティーを追求した帆船模型を手掛ける達人の技術力とともに、帆船模型の魅力に迫ります。


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●帆船模型のキットは存在するけれど……?

  • テーブルに並んだキットのパーツ


    キットに同梱されたパーツ


世界規模で愛好家のいる趣味なので、当然市販のキットが存在します。主に海外メーカーからリリースされ、木製のパーツや、ロープを表現するための糸があらかじめ同梱されているものもありますが、肝心な帆を再現するための部材は入っていないことがほとんどです。


●帆船の顔であるマストの作り方

  • 日本の帆船の写真


    日本の帆船の写真


作るのはフランスの帆船ラ・ヒヤシンスの1/64スケール。実際のマストは船体に接合されているわけではなく、数多のロープによって固定されているだけ。まずはその構造を模型でも再現していきます。



  • 糸でマストを固定する様子


    接着に頼らず、ロープ代わりの糸でマストを固定


  • ラットライン


    ラットラインと呼ばれる縄はしごを糸で再現


  • ピンセットで本物と同様の結び方を行う様子


    ラットラインの横の糸も接着せず、本物と同様に上から力が加わると締付けが強くなる結び方で固定


  • ラットラインを施した船


    ラットラインの完成。目を引く部分なので仕上がりにはこだわりたいところ



●ミシンで帆を裁縫

  • 縫い合わせる様子


    四方を糸で縫い合わせる


マストに取り付ける帆は、布をミシンで実際に裁縫することでリアルさを追求します。図面から布を切り出し、四方を糸で縫い合わせたら、もうひと工夫。


  • 本物の帆の継ぎ目


    布同士の継ぎ目を再現する


実際の帆には布同士の継ぎ目が存在します。これを再現することで帆の情報量が高まり、リアリティーが増します。


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●可動を活かし、帆を取り付ける

  • 縫い付けた帆


    縫い付けた帆


縫った帆を糸でヤードに括り付けたら、マストに取り付けます。ただ取り付けるのではなく、エンジンに頼らず帆を動かすことで動力を得ている帆船だからこそ、実際と同じ風に動かせるように仕上げているのもポイントです。



  • 小さな滑車に糸を通す様子


    小さな滑車を介して糸を通すことで、可動させることが可能に


  • 帆の収納する様子


    帆の収納/展開を再現



ただし、飾る際には固定してしまいます。なら最初から固定しておけば良いと思ってしまいますが、そこは遊び心、自己満足の世界。


●帆を携えた立派なラ・ヒヤシンス!


  • ラ・ヒヤシンスのフルスクラッチビルド作品


ちなみに、帆だけでなくすべてのパーツを一から作り出したフルスクラッチビルド作品。制作期間半年の大作です。


●まとめ


木材の組み合わせで船体及び小物まで作り出し、既製品のキットでもほとんど再現されることのない帆も再現した、まさに芸術品といった作品です。


日本ではニッチなジャンルの帆船模型ですが、もし挑戦したいと思ったら既製品のキットはオススメ。そうでなくても、この作品を通じて、自分が模型にどこまでこだわりたいのか、その塩梅を見極めてみてはいかがでしょうか。