「赤岩隧道」は三重県それとも福井県?絵葉書に写る隧道を調査する旅『道との遭遇』
ミキの昴生と亜生がMCを務める、全国の道に特化したバラエティ番組『道との遭遇』。今回は、全国800か所以上の道を巡ってきた道マニア歴19年の石井あつこさんが、“絵葉書に写る隧道”を調査します。※廃道は危険ですのでむやみに立ち入らないでください。
「赤岩トンネル」がかつての「赤岩隧道」?福井県で大調査!
以前、石井さんが絵葉書に「三重?赤岩の隧道」と書かれた隧道を探しに三重県紀北町(きほくちょう)へ行き、それらしき隧道を発見しました。しかし、「福井県勝山市にある『赤岩トンネル』がかつての『赤岩隧道』ではないか」という線が浮上。今回はその真偽を確かめるべく、再調査することに。
まずは、昭和42年時点の全国の現役のトンネルをまとめた書籍「道路トンネル大鑑」で確認。福井県勝山市には2つしかトンネルが存在しておらず、そのうちの1つ「『赤谷』と書かれているトンネルが「『赤岩隧道』の可能性がある」と石井さんは言います。
(道マニア・石井あつこさん)
「『赤谷』は、『赤岩』の誤字の範疇。明治42年測図、大正5年製版の地形図で確認すると、隧道の記号がある。絵葉書のように水流があり、すぐ横を通る道路沿いに小山があって、その小山を貫く隧道がある。まさに、絵葉書と同じ景色が見られると思う」
「絵葉書と決着をつけたい!」ということで、訪れたのは福井県勝山市。現役の「赤岩トンネル」に狙いを定め、九頭竜川(くずりゅうがわ)に沿う県道168号藤巻下荒井線へ。
目的地に到着すると、絵葉書と見比べ景色を照合。「ここだと思う。道は拡幅されているよう」と石井さん。ここで、現在使われている道路の外側に、段差と苔の生えた古い石積みを発見!
(道マニア・石井あつこさん)
「この段差の上が、かつての道路敷きじゃないですかね。線形改良の廃道が残っている」
絵葉書の隧道からつながる石積みの上の道は、現在の舗装路ではなく段差のある道だったのではないかと推測します。
道の線形やすぐ横の石積みの様子などから、「この隧道が絵葉書の隧道の可能性がかなり高い」と石井さん。1986年に改修工事され、名称も「赤岩トンネル」に変わったのでないかと言います。
さらに、「赤岩トンネル」の横に気になるものが。
(道マニア・石井あつこさん)
「この石積み、山の上の方まで続いている。上に何かあったんですかね」
石積みの上に道らしきものを発見し、先まで行ってみることに。しかし、つづら折りの道を見つけるも、その先には何も見つかりません。
ついに判明!絵葉書に写る「赤岩隧道」の正体とは
石積みのつづら折りの道は、何のために造られたのか。地元の方に聞き込みをしたところ、約50年前に「赤岩隧道」がある小山の上にホテルの建設計画があり、石積みの道はホテルへ行くために整備して造られたことが判明。しかし、地元住民の反対により計画は断念。現在は廃道となり、石積みがそのまま残っていると言います。
さらに、石井さんは「勝山市立図書館」へ資料を探しに行くことに。すると、明治45年に発行された「大野郡誌(おおのぐんし)」に、絵葉書と同じ構図の写真が載っているのを発見!絵葉書に写る「赤岩隧道」は、三重県紀北町ではなく福井県勝山市にある「赤岩トンネル」の前身であることが判明しました。
資料によると、「赤岩隧道」が竣工したのは明治25年。当時の県道168号の中で唯一の難所の大工事だったそうで、開削するのに3年の年月を要しました。
この隧道が開通したことにより、交通の利便性が向上して地元住民に喜ばれたそう。その後、この場所は景勝地として人々に親しまれるようになりました。
9月3日(火)午後11時56分放送 CBCテレビ「道との遭遇」より