「シモヤ」妥協なき職人技...ゼロからの看板作りと「浜木綿」の看板取り付けに密着!
愛知県におけるモノづくりの重要拠点・大府市には、さまざまな工場が集まっている。
そんな大府市に本社を置く「株式会社シモヤ」は、愛知県内では数少ないデザイン・製造・施工までを一貫して行う看板製造会社だ。今回は、そんな「シモヤ」に密着。看板を作る工程や職人技、クライアントを笑顔にする設置のこだわりまでを取材した。
看板製造…ゼロから密着!
1971年創業の「シモヤ」。これまで「アルペン」「コメダ」「ダイソー」「愛昇殿」「浜木綿」など、名だたる企業の看板を数多く手掛けてきた。
この日、看板製造における頭脳・デザイン部をのぞくと、名古屋発祥の中国料理チェーン店「浜木綿」の看板を作っていた。愛知県東海市にオープンする新店舗のための制作作業が佳境を迎えていたのだ。
こちらは新店舗の図面で、看板は遠くからでも一目で分かる存在感。真っ新な壁一面に設置する予定だ。
デザイン部が作った案を形にするのが製造部。この日は巨大プリンターで「スタッフ募集」の立て看板を印刷していた。「シモヤ」は店舗の壁面だけでなく、さまざまな看板を用途に合わせて作っている。
印刷後は、最も神経を使う貼り付け作業。空気を抜きながら板にぴたっと密着させる。熟練した職人技だ。
続いて、発泡ウレタンとプラスチック板を一体化させた「カルプ材」と呼ばれる板に、デザインに合わせたカラーシートを貼り付けていく。デザインは文字がバラバラに配置されているが、これはカルプ材を無駄なく使うためのレイアウトだ。
カルプ材を、特殊電動ノコギリでカットしていく。
カットしたパーツを並べていくと……完成後のイメージが湧いてきた。
「ちょっと待って!」設置作業で異例の措置
看板製造から1週間後。1台の高所作業車が、出来上がった看板を取り付けるため、「浜木綿」の新店舗にやって来た。「シモヤ」の施工部が、新しい店舗に命を吹き込む。
第一営業部の鍵谷さんは「一番大事なのは、発注元に喜んでもらうこと。来客がパッと見てイメージがいい看板に。どれだけきれいに取り付けてどれだけ喜んでもらえるか、それがすべて」と話す。
高所作業車が動き出し、いよいよ設置開始。まずは店舗の入口上部の作業で、大きな下紙の上に、設置ポイントの“あたり”をつけていくが……
「ちょっと待って!」。責任者の鍵谷さんが作業ストップの指示を出し、「浜木綿」の担当者と緊急会議を始めた。「高さが図面より低く見える。お客様と確認して10センチくらい上にあげる」と鍵谷さん。
図面では分からなかったが、実際に現場で見てみると、ひさしの長さで文字の下の部分が見えにくくなることが判明したのだ。現場の状況に応じて、臨機応変に対応する。下紙に再度目印をつけ、無事準備が整った。
パーツを強力な両面テープと専用のボンドで次々と壁に取り付け、1時間後にはメインの看板が誕生!
取り付けた後は、水や異物が入らないよう、パーツと壁の隙間を専用のボンドでふさいでいく。これで耐久力もアップした。
別の場所では、駐車場の誘導看板もクレーンで設置。これも必要な看板だ。
さらに、アルミのフレームを店の茶色い壁面に取り付ける。正面の看板だけでも存在感は十分だが、走行している車からはっきりと見える壁を生かさない手はない。作業員がアルミ製の板にプリントされた大きな看板を設置すると、店の雰囲気ががらりと変わった。
鍵谷さんは「提案したものと同じイメージの看板ができた。一番大事なのは店にあったイメージ。望んでいる以上のものができれば最高」と話した。