日本を支えるのはここだった!愛知の驚きのものづくり現場

飲食店で見かけるグラスから、電力インフラを支える部品、そして巨大な鉄の生産現場まで。その裏側には、日本が誇るものづくりの技術が息づいています。今回は、愛知県内の工業製品工場に潜入し、身近な製品が生まれる瞬間から世界シェアを誇る技術の現場までを徹底調査。普段は意識することのない“縁の下の力持ち”に迫ります。

日常に溶け込む名品を生む、岩倉の老舗ガラス工場

  • 石塚硝子は、飲食店でよく見るガラスのコップの生みの親だった

    石塚硝子は、飲食店でよく見るガラスのコップの生みの親だった

愛知で“感動工場”として注目を集める存在。そのひとつが、岩倉市にある創業200年以上の老舗「石塚硝子」です。ここで生み出されているのは、私たちの暮らしに欠かせないガラス製品。なかでも身近なのが、飲食店でよく見かけるあの“水飲みグラス”です。

同社が手がけるガラス食器は約2,000種類。なかでも定番のグラスは、シリーズ累計で年間20万個以上も製造されており、全国の飲食店で広く使われています。約40年前に誕生したこのデザインは、積み重ねやすく丈夫で扱いやすいことから、特に喫茶店業界で長く愛されてきました。

  • 圧倒的なスピードで製造される、ガラス瓶のライン

    圧倒的なスピードで製造される、ガラス瓶のライン

さらに、グラス上部に施された細かな縦線には、傷が目立ちにくくなるという工夫も。日常使いの中に、確かな技術と配慮が息づいています。

また、同社はガラス瓶の製造でも知られ、明治時代から業界を牽引。瓶の底に刻まれた「石」や「I(アイ)」のマークが、その証です。製造工程では、熱したガラスを型に流し込み、わずか数秒で成形。1時間に約2万本という圧倒的なスピードで生産されます。

  • プリントグラスの復刻版が、巡りめぐって今トレンドに

    プリントグラスの復刻版が、巡りめぐって今トレンドに

年に一度開催されるガラス食器のバーゲンセールも名物で、通常1,800円の商品が300円になることもあるほど。地元では成人式の記念品としてグラスが配られるなど、地域に根付いた存在です。

近年は、1970年代に人気を博したプリントグラス「アデリア」の復刻版がSNSで話題に。累計180万個を売り上げるヒット商品となり、再び注目を集めています。

電力インフラを支える、世界シェアを誇る“縁の下の力持ち”

  • 実は私たちの暮らしを支えている製品「ガイシ」

    実は私たちの暮らしを支えている製品「ガイシ」

続いて紹介するのは、一見すると用途が分かりにくい製品を生み出す工場。しかし、その正体を知れば、私たちの生活に欠かせない存在であることに気づきます。

答えは「ガイシ」。磁器やガラスなどのセラミック材料で作られ、鉄塔や電柱に取り付けられている絶縁体です。高圧電流が鉄塔へ流れるのを防ぐ、重要な役割を担っています。

  • ニッチな領域のトップメーカーとして地位を確立しているNGK

    ニッチな領域のトップメーカーとして地位を確立しているNGK

この分野で世界トップシェアを誇るのが、名古屋市瑞穂区に本社を構える「NGK」。もともとは「日本ガイシ」という社名でしたが、近年「NGK」へと変更されました。

同社は高級洋食器メーカー「ノリタケ」から分社化して誕生。陶磁器の技術を応用し、現在では自動車部品「ハニセラム」でも世界トップクラスのシェアを誇ります。

  • 自動車の生産に欠かせないNGKのハニセラム

    自動車の生産に欠かせないNGKのハニセラム

排ガス中の有害物質を無害化するこの製品は、世界中の車の約2台に1台に使われているともいわれています。

普段は意識することのない分野ながら、社会インフラを根底から支える存在。まさに“世界一の黒子企業”が名古屋にあったのです。

圧倒的スケールで魅せる、鉄の世界と工場夜景

  • 東海市の誇り。とてつもない規模を誇る日本製鉄 名古屋製鉄所

    東海市の誇り。とてつもない規模を誇る日本製鉄 名古屋製鉄所

東海市の沿岸に広がる「日本製鉄 名古屋製鉄所」。その広さは、バンテリンドームナゴヤ約131個分にも及びます。

ここで生産されているのは、私たちの暮らしや産業を支える「鉄」。1日あたりの生産量は、ジャンボジェット機約50機分にも達します。市の面積の約15%を占める広大な敷地内では、専用の列車やバスが走り、まるでひとつの都市のようなスケール感です。

  • 圧倒的な熱とスケールで鉄を生み出す現場に引き込まれる

    圧倒的な熱とスケールで鉄を生み出す現場に引き込まれる

見どころは、鉄を生み出すダイナミックな工程。鉄鉱石を高温で溶かし、巨大な炉へと流し込む瞬間は、まさに異世界の光景。家庭用の浴槽約5,400杯分にも相当する巨大設備の中で、マグマのように輝く鉄がうねります。

この炉の火は、温度を一定に保つため約15年間絶やされることがありません。圧倒的なスケールと緻密な管理が共存する現場です。

  • 外から眺める工場夜景が美しく、写真愛好家に人気

    外から眺める工場夜景が美しく、写真愛好家に人気

さらに夜になると、工場は幻想的な表情へ。無数の灯りがきらめく様子は“光の要塞”とも呼ばれ、愛知を代表する工場夜景として人気を集めています。夜の散策でその景色を楽しむ人の姿も見られ、昼とは異なる魅力を放っています。