最大斜度26%!三重県菰野町"幸せの激坂"で高校生が絶対王者に挑む「福王」決定戦
三重県菰野町には「幸せになる坂」と親しまれる急坂があります。毎年、この坂では天狗伝説にちなんだユニークな神事「天狗坂上り」が開催され、多くの挑戦者が“福王”の称号を目指します。地元の期待を背負う高校生と大会3連覇中の絶対王者が激突した、白熱のレースを追いました。
天狗伝説が残る「幸せの激坂」に挑戦してみた

天狗さまが見守る、名物「天狗坂上り」
向かった先は、天狗伝説が残る「福王神社」。毎年、この神社の参道では「天狗坂上り」というユニークな神事が開催されています。
挑戦するのは、全長約400メートル、最大斜度26%という急勾配の坂道。自転車で一気に駆け上がることができれば、幸せが訪れると伝えられています。さらに、最も速く登り切った人には、天狗の力を最も宿した証として「福王」の称号が贈られます。

スタッフが挑戦するも、あまりの急勾配に途中でギブアップ
そこで若手の番組スタッフも挑戦してみることに。しかし、スタートからわずか1分半で力尽き、途中でギブアップ。歩いて進もうとするものの、後半になるほど傾斜はさらに厳しくなり、歩くだけでも一苦労というすさまじい激坂でした。
悲願の「福王」を目指す地元高校生に密着

とてつもない傾斜をスイスイ上がっていくサイクリストが登場
そんな難関の坂を軽快に駆け上がっていくのが、地元・菰野町に住む中村海斗さんです。
中学2年生から自転車競技を始め、全国大会にも出場した実力者。昨年の天狗坂上りでは、中学3年生ながら48人中3位に入る快挙を成し遂げました。

地元の大舞台で頂点をつかみたいという熱い思いを語る中村さん
それでも海斗さんには、どうしても手に入れたいものがあります。それが、この大会の優勝者だけに与えられる「福王」の称号です。菰野町で生まれ育った海斗さんにとって、「地元の大会で1位になること」が何よりの目標。その夢を、お母さんも温かく応援しています。
立ちはだかる絶対王者!3度「福王」に輝いた猛者とは

3度出場して、3度優勝という圧倒的王者の朝倉さん
しかし、その前には大きな壁が立ちはだかります。それが、3度の優勝を誇る絶対王者・朝倉健介さんです。第6回大会で初出場・初優勝を果たすと、翌年は大会新記録で連覇。さらに昨年も大会レコードを更新し、「福王」の称号を守り続けています。

天狗さまのご加護?福王になってから事故なし
「毎年倒れるほどきついですが、あの会場でしか味わえない空気が好きなんです」と語る朝倉さん。歴代の福王ジャージや記念シールを見せてくれ、「福王になって以来、レースで大きな事故がないのも天狗さまのご加護ですね」と笑顔を見せます。

仕事に家庭に…福王になってから幸運続き
さらに福王になってからは、2023年に結婚し、翌年には第一子となる女の子が誕生。仕事では起業し、事業も順調と、まさに人生が右肩上がりです。4度目の福王を目指し、「限界を超えて踏み続けることが勝利への鍵」と語りながら、日々練習を重ねています。
運命の決戦!限界を超えて挑んだレース、今年の福王は…

無謀とも思える小径車でのチャレンジャーも
迎えた大会当日。海斗さんは少し緊張した表情で会場に姿を見せました。まずは福王神社の本殿で安全祈願を行い、天狗さまの力を授かってから神事がスタートします。
参加者は三重県をはじめ、愛知や関西から集まった64人。2人ずつスタートし、約400メートルの急坂を駆け上がります。途中で足を地面につけた時点で失格となり、ゴールタイムで順位が決まります。

スタートして中盤まではぴったりと背後につき善戦
海斗さんが挑むのは、大会最後を飾る最終レース。しかも対戦相手は、3連覇中の絶対王者・朝倉さんです。
この時点で暫定トップは1分41秒。優勝候補の朝倉さんは1分30秒前後でのゴールが予想されており、このレースを制した選手が「福王」に最も近い、事実上の決勝戦となりました。
スタートすると、海斗さんは作戦どおり朝倉さんの背後にぴたりとついて食らいつきます。

ラストスパート!朝倉さんが限界突破の踏みを見せる
しかし終盤、朝倉さんが満を持してスパート。一気に差を広げると、そのまま1分31秒でフィニッシュ。圧巻の走りで大会4連覇を果たし、4度目の「福王」の称号を手にしました。
海斗さんも最後まで粘り抜き、1分38秒で堂々の2位。「来年こそは1位になりたい」と、新たな目標に向かって力強く前を見据えていました。