「注意されてもやめようと思わない」車道を悠然と走る迷惑スケートボーダー 自治体の取組は『チャント!特集』
三重県最大の繁華街、四日市市では夜な夜なスケートボードに乗った若者たちによる迷惑行為が横行しています。繁華街の路上を我が物顔で占拠し、路上や周囲の建物の壁などに傷をつけたり、騒音を立てたりしています。スケートボードの人気が高まる一方、トラブルも増えています。彼らがなぜ迷惑行為を繰り返すのか、取材しました。
深夜に集まるスケートボーダーたち
三重県にある近鉄四日市駅前の商店街のアーケードには飲食店やスーパーマーケットが立ち並び、日中は買い物客やビジネスマンで賑わいますが、深夜になると別の賑わいを見せます。市がスケボー禁止区域としているにもかかわらず、スケートボーダーたちが毎晩のように集まってくるのです。
商店街のすぐ近くに住むケンタさん(仮名)は、深夜のスケートボーダーたちによる騒音に頭を悩ませています。ケンタさんが撮影した動画には、深夜のアーケード街に響き渡るスケートボードの音がはっきりと記録されていました。
(ケンタさん)
「多いときは週に3~4回くらい、大体夜の10時以降ですね」
住民から通報を受けて、警察官が出動することもあります。
さらに、問題は騒音だけにとどまりません。近くのマンションの花壇は荒らされ、周辺の縁石には、傷跡があちらこちらに残っていました。これらの修繕費はマンション住民の管理費で賄われており、住民のケンタさんは大きな怒りを感じています。
深夜の繁華街で危険な走行
2022年5月20日の深夜、実際に夜の商店街を訪れました。一帯は、四日市市がスケートボードの滑走を禁止しているエリアにもかかわらず、午後10時に少年ら4~5人が駅の敷地内でスケートボードの練習をしています。終電前のため、駅の利用客が少年らを避けるように通行していました。
タクシーの運転手に話を聞きました。
(タクシー運転手の男性)
「すごいときはもっと集まる。壁に汚れがあるじゃないですか。スケートボードでぶつかったりとかしてますね」
毎晩のように、駅前で集まっている若者たち。警備員が注意すると、いったんその場を離れますが、少し離れた場所で歩道を占拠してスケートボードに興じます。
午前0時を過ぎても、一向に止める様子がありません。上半身裸で、時折何か叫んだり、車道のど真ん中をスケートボードで走ったりと好き放題。駅前は交通量もあるだけに、危険極まりない状態です。
スケートボードに興じる若者の声と市の対応
スケートボードをしていたのは、10代後半の若者たち。3年ほど前から街中でしていると悪びれずに言います。
(少年)
「街で滑ると、おもろいっす。スケボー持って歩くのがムズムズしてしまうんで、持っとったら滑りたい」
「暇になったらとりあえずスケボーって感じで、夜な夜な集まってます」
街中をスケートボードで走行していて、通行人とぶつかった経験があるにもかかわらず、禁止エリアでの迷惑行為を止める気はありません。逆にスケートボードをやってみれば、自分たちの気持ちが分かるはずだと主張します。
この現状について、四日市市スポーツ課の田中敦課長は教育委員会から各学校を通じて、路上でやらないように指導していると説明。市は今年度、試験的にスケートパークを設置することを検討。スケートボーダーたちにとっての拠り所となることを期待しています。排除するのではなく、練習できる場を設けて共存できる方法を模索しようと考えていました。
スケートボーダーと共存するための取り組み
スケートボーダーたちの受け皿をいち早く作った三重県松阪市は、3年前にスケートパークをオープン。その結果、路上でスケートボードによる迷惑行為が激減しました。パークを訪れていたスケートボーダーに、迷惑行為について聞きました。
(男子高校生)
「しっかりルールを守った方が、他のスケーターの迷惑にもならないと思う」
「他人に迷惑をかけるよりは、こういう環境で楽しくスケボーをした方がいい」
東海地方のスケートパークはおよそ40か所。全国には600を超えるスケートパークがあり、年々増えてきました。NPO法人日本スケートパーク協会は「単にスケートパークを増やせば迷惑行為がなくなるわけではなく、行政や警察が連携して厳しく取り締まる必要がある」とも指摘しています。
東京オリンピックで日本人選手たちが活躍したことで、競技人口がうなぎのぼりのスケートボード。人気が急激に高まっている一方で、トラブルも増えるためルールの徹底とマナーの向上が求められています。
CBCテレビ「チャント!」6月2日の放送より。