台風22号に飛行機で突入…そこには強い台風の特徴“メソ渦”が 勢力を人間の力で弱める「タイフーンショット計画」も!?

急速に発達している台風22号。この台風の中に飛行機で突入し、中から観測する調査が行われました。
【写真を見る】台風22号に飛行機で突入…そこには強い台風の特徴“メソ渦”が 勢力を人間の力で弱める「タイフーンショット計画」も!?
(気象庁大気海洋部・立原秀一予報課長)
「これまでに経験したことのないような、暴風・高波のおそれがあります」
現在、非常に強い勢力で発達を続ける「台風22号」。その実態を探るべく空へ。
(桜沢信司気象予報士)
「今、県営名古屋空港を飛び立ちました。向かうのは『台風22号』の中心です」
台風を目指すのは、名古屋大学と横浜国立大学などの合同チーム。県営名古屋空港を出発して約30分…
(名古屋大学・横浜国立大学 坪木和久教授)
「台風の一番外側の巻雲が見えてきました」
景色はクッキリ分かれた、青い空と白い雲。この雲が台風の一番外側。台風は、すぐ目の前に。
観測機を42個投下し…精度の高い予測を
「3、2、1投下」
(桜沢)
「今、1目の観測器が投下されました」
これは「ドロップゾンデ」と呼ばれる観測器で、落下しながら、気温、湿度、気圧、風向き、風速を観測。調査では台風の外側と内側で、この観測機を42個投下し、正確な観測データを元に台風の立体構造を把握し、今後の勢力や進路について精度の高い予測を目指します。
台風の“目の中”はどうなっている?
(桜沢)
「機体が台風の中心に近づいてきました。おお、揺れますね」
台風は中心に近づくほど、気圧が低くなり風も強くなります。窓からの眺めは一面白い世界。しかし、次の瞬間!
(桜沢)
「今、台風の目に入りました!上は青空だ、下の方には厚い雲。雲の切れ間から海も確認することができます。中心は揺れませんね」
台風の目の中には、らせん状の雲がみられます。これは「メソ渦」とも呼ばれ、強い台風の特徴です。
(桜沢)
「周りには厚い壁のような雲。これが台風の中心に近い、最も危険な雲です」
気象庁は中心付近の気圧を970hPaと予想。しかし、今回観測されたデータでは10低い960hPa。予想より勢力が急速に発達していることを意味します。
今回の調査では、台風を直接観測するだけではなく、もう一つ最先端の研究が。
台風の“勢力を弱める”研究も!?
(横浜国立大学 台風科学技術研究センター 筆保弘徳センター長)
「国のプロジェクトのもとで、台風の勢力をいかに人間の力で弱められるか。『タイフーンショット計画』をやっています」
その名も「タイフーンショット計画」。
台風の勢力を人為的に弱くしようというプロジェクトです。
台風の中心付近に含まれる、極めて低い温度の水分から雲を作り、台風の形を変えてしまうことで勢力を弱めることができると考えられています。
今回の観測では、実際に0℃を下回る状態の水分が確認され、計画の実現に一歩近づく成果も。
(筆保センター長)
「今までコンピューター上のシミュレーションの中でしか見てこなかったので、本当に0℃を下回る水分があるかがわからなかったが、観測することで、それがあることがわかって、本当によかった。5%でも10%でも台風を弱めることができれば、被害の軽減については、ものすごく大きく変わると思う」
実用化の目標は2050年。果たして気象のコントロールは可能なのか。年々甚大化する気象災害を少しでも減らすための野心的な取り組みが始まっています。