園長「漫然な運用になっていた」園児がバスに1時間置き去り 専門家が指摘“3つのミス”

岐阜県の認定こども園で、2歳の女の子が通園バスの車内に1時間置き去りにされていたことが分かりました。
「この度は皆様、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」(かみいしづこどもの森 脇淵竜舟 園長)
置き去りがあったのは、大垣市上石津町の認定こども園「かみいしづこどもの森」です。
園によると、9月2日午前9時半ごろ、園長が運転していたバスが14人の園児と保育士を乗せ園に到着。
2歳の女の子は座席で寝ていて、保育士は後で起こそうと他の園児たちをバスから下ろしました。
その後、園長は全員降りたと勘違いし、バスを外の駐車場へ移動。約1時間もの間、バスはそのままでした。
「バスの運行を開始して20年ぐらいになるが、そういったところでの慣れや油断みたいなものが。非常に漫然としてしまっていた」(脇淵園長)
女の子がいないことに気付いた保育士が女の子を発見しましたが、体調に変化はなく無事でした。
安全装置が「漫然」な運用に…

当時大垣市の気温は32度を超えていたということです。防ぐ手立てはなかったのでしょうか?
今回のようなケースが相次いでいることをうけ、国はおととしから、通園バスに置き去り防止の「安全装置」の設置を義務化しました。
今回のバスにも、エンジンを切ると警報音で知らせるアラームが最後部についていました。
このアラームは本来、最後部まで移動して止めるものですが運転していた園長はリモコンで止め、見回りも怠っていたといいます。
「その時に漫然とスイッチを手元で解除してしまった。そこが漫然な運用になっていたというところは否定できない」(脇淵園長)
園長は「漫然」という言葉を5回繰り返し釈明しました。
さらに、園が県や市に報告したのは、置き去りが発生してから1カ月以上経ったあとでした。
「そこに至る経緯というのは重大な結果に結びつく危険性も当然おおいにあったというところが自分としては本当に反省して大きいところで…」(脇淵園長)
専門家「3つの大きなミスが重なっている」

今回のケースについて、保育園の園長でもある岐阜大学教育学部の春日晃章教授は―。
「3つくらい大きなミスが重なっている」(春日教授)
1、運転手が勝手に安全装置のスイッチを通常と違う方法で使った。
2、乗務員の保育士がのちほど寝てる子を起こそうと思って認知していたのを失念。
3、1時間 朝の出席確認がおろそかになった。
また、置き去りされた園児が「一時保育」だったという点も、要因の一つではないかと指摘します。
「2022年の事故があってから各園で園児に対して、置き去りがあった場合にはこういう風に助けを求めるよう訓練をしているところが多い。一時保育の子たちはそういう経験をすることがないので、園児自ら助けてくれという術を知らないということもある。預かる前に保護者と保育士がしっかりと情報交換をする場を設けることは大切」(春日教授)