“予算少なく訓練量不足”も 自衛隊機の墜落事故が相次ぐ理由を軍事ジャーナリストの井上和彦さんが解説

自衛隊練習機の墜落について、これまでに見つかったもの、新たに見つかっているというものもあります。新たに見つかったとして発表されているのがエンジンとみられるもの、そしてタイヤなどです。自衛隊の練習機墜落事故について、軍事ジャーナリストの井上和彦さんに話を聞きました。
「大破に近い形なのでは」

――エンジンとみられるものや、タイヤなどが発見されました。何か考えられることはありますか。
軍事ジャーナリスト 井上和彦さん:
「もともとエンジンもタイヤも、機体の中に収納されているものなんですよね。そういったものの部品が出てくるということは相当、機体の損傷が大きかったということが言えるのではないかと思います」
――かなり大破に近いような形になっているのでしょうか。
「そう思わざるを得ないですね。機体の破片も結構細かくバラバラになった状態で見つかっています」
――そうした一方で、依然、隊員2名はまだ発見に至っていないという状況が続いています(5月16日現在)。こちらも難航しているのでしょうか。
「パイロットは、自分の体を車のシートベルトの何倍もしっかりとしたもので縛り付けております。そのコクピットの部分がまだ何も発見されていないということで、いまそうした状況にあるのかなと思います」
――エンジンなどが見つかっているというところで、その近くにということには至らないのでしょうか。
「どれだけの範囲で破損した機体が散らばっているかというのは、水中探査を入念にやらないとなかなか動かないです」
訓練量・飛行量の問題、防衛予算ギリギリが理由の1つに

――今回のような自衛隊機の墜落事故が近年、相次いでいます。毎年のように起きてしまっているのは、どうしてなのでしょうか。
「1つずつの事象については、個別の訓練や任務中などで起こっている現象なので、偶然固まっていると思います。ただ、考えられることとして、訓練量が挙げられるかと思います。潤沢に訓練を行って技量を高めていれば、おそらくヒューマンエラーがもしあったとしても避けられたものであっただろうと思いますし、また機体の側も、機体のトラブルということが考えられるのであれば、部品などの調達は十分されてはいるのだけれども、問題があったと考えられると思います。
ただやはり一番大きいのは、飛行量、飛行の訓練量の問題というのはあるのかな、と推測しています」
――訓練量が確保できないのは、どういった理由なのでしょうか。
「大きく言えば予算です。これまでの防衛予算はようやく国際標準に近づく2%という形でGDP比2%という形になっています。しかしこれまでの予算は、本当にギリギリのところで行われていました。こうしたことが影響をしていないとは言えないと思います」