学習塾の閉鎖、倒産増で受験生が路頭に迷う 失敗しない塾選びは「閉鎖後の補償」「経営状況の把握の有無」

学習塾の倒産件数は2024年に過去最多を更新しています。東京商工リサーチによると大学受験予備校などを含む「学習塾」の倒産は2024年だけでも53件。2023年の45件と比べて8件増加しています。最近では東京・大学受験予備校「ニチガク」が、大学入試を目前に控えた1月4日に突然、教室を閉鎖しました。通っていた生徒約130人は予期せず、学習の場を失うことになったのです。増える学習塾倒産の背景と、選ぶ際の注意点を解説します。

ニチガクのホームページには、40年以上の指導実績があり、少人数制の授業で高い合格率を誇っているとの記載がありました。さらに特徴的なのは高い合格率です。2023年度には第二志望までに受かった人の合格率が93.9%。165人中155人が合格していました。
生徒数の減少、無理な設備投資

ニチガクを運営していた日本学力振興会の代理人弁護士によりますと、「少子化によるここ数年での生徒数の減少に加え、無理な設備投資などで資金繰りが厳しくなったからではないか」といいます。実はニチガクのようなケースは、近年増えてきているんです。

東京商工リサーチによると、大学受験予備校などを含む「学習塾」の倒産は2024年だけでも53件。2023年は45件だったので8件増加し、倒産件数は過去最多を更新しています。東京商工リサーチは、倒産増加の背景に少子化と学習塾の形態の多様化があるとしています。

まずは少子化について経済産業省のデータを見てみると、6歳から18歳までの人口の減少に伴い、学習塾の受講生徒数を表す「学習塾指数」は、ここ数年、減少傾向にあります。そもそも、学習塾に通う人が減っているんです。
無料の学習コンテンツが増加

次に学習塾の形態の多様化について、近年、学習塾の形態は集団指導や個別指導に加え、コロナ禍でオンラインでの講義が広がるなど多様化しています。さらに動画投稿サイトには、個人や法人が手がけた無料の学習コンテンツが増加。つまり、学習塾は競争相手が増え、生き残りが厳しくなっているんです。
東京商工リサーチは、「今年も学習塾の淘汰の波が押し寄せ、倒産や休廃業が増える可能性が高いのでは」との見方を示しています。
倒産や閉鎖しないような学習塾を選ぶ方法は?

学習塾検索サイト「ジュクサガス」運営会社の田口健吾さんに話を聞きました。塾を選ぶときに確認してほしいのは次の2つです。
1. 塾閉鎖後の補償はあるか
2. 講師らが経営状況を把握しているか
塾閉鎖後の補償はあるか

塾閉鎖後の補償内容については、契約書や利用規約に塾側の都合で授業ができなくなった場合の補償の記載があるか確認しましょう。例えば「授業ができない場合は協力関係にある他の塾に振り替える」「未受講分の受講料を返金する」といった補償を用意している塾もあります。
こうした塾を選んでおくと万が一の時にパニックになったり、慌てたりせずに済むかもしれません。
講師らが経営状況を把握しているか

塾の経営は主に運営会社が担っていて、現場にいる講師らは経営状況を知らない場合が多いです。もし講師らが経営状況を把握していれば、倒産の可能性がある場合に生徒にほかの塾を勧めるなど対応をしてくれるかもしれません。入塾後は、入塾前に運営に講師が関わっているか聞いておきましょう。
塾選びは受験生の人生がかかっている大切な場面。講師らはもちろん、運営側とも定期的に面談をして運営状況を聞くなど、保護者も含めアンテナを張っておくことが大事です。また学習塾にはどうか、誠実な対応をお願いしたいと思います。