公立小学校の水泳の授業を大学の屋内プールで 狙いは悪天候による授業日数減少対策とプール補修費負担軽減

愛知県豊田市で早くも小学生の水泳の授業が始まりました。場所は大学のプールです。
豊田市立伊保小学校の児童が泳いでいるのは、中京大学豊田キャンパスの屋内プール。豊田市と中京大学が2025年に始めた、小学校の水泳の授業を校外のプール施設で行う取り組みです。
豊田市の小学校では、猛暑や豪雨が増えて水泳の授業を行えない日が多くなったことや、プールの老朽化による修理費用の負担が課題です。課題解決のため、2025年は伊保小学校含め2校がこの取り組みに参加していて、市は2026年度以降、参加校を増やすことを検討しています。

公立の小中学校の水泳の授業を校外の施設で行う取り組みは、愛知県内の各自治体に広がってきています。県内の全市町村の教育委員会に確認したところ、豊田市以外にも名古屋市や豊橋市など、54市町村中41市町村で実施していました。
水泳の校外施設での授業は財政負担軽減に

この取り組みについて、メリットと課題を三菱UFJリサーチ&コンサルティングの森春樹研究員に聞きました。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング 森春樹研究員:
「(学校側は)プールの清掃や水質管理といった非常に重い負担を軽減できる。自治体は、各学校のプールの維持管理をしなくていいので、財政負担の軽減を図ることができる。市民プールや民間スイミングスクール、バス会社にとっては、利用率向上や新たなビジネスチャンスにつながる効果があるので、それぞれの関係者が協力することでウィンウィンの関係を築けることが、この取り組みの特徴」
一方で、課題は校外の施設への移動だと指摘します。今回、豊田市は移動を授業時間内に行ったため、授業2コマ分の90分のうち、実際の水泳の授業は約50分でした。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング 森春樹研究員:
「移動時間が長くなってしまうと、実際に泳いでいる時間がどんどん短くなってくるので、その時間を確保するため、移動手段について十分に検討していくことが必要になる。加えて、小中学生が移動することになるので、安全に移動することが重要になってくる」
全国初とみられる大学での水泳授業を広める

また自治体同士の情報交換も必要だと言います。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング 森春樹研究員:
「各自治体が手探りで進めているのが実情なので、(各自治体で)横のつながりを生かして、良いものは共有して、改善点はお互い反省して進めていくことが今後重要だと思う。大学での(校外水泳)授業の実施は非常に珍しいケースなので、これが最初の例ということで、ぜひ豊田市には全国に広めてほしい」