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「医師の被ばく」問題解決に光 新技術“脱X線”を目指す1人の研究者に密着「私の人生のミッション」

メ~テレ
11.17(月)18:32

1人の研究者が手がけたシステム。医師の負担軽減につながる画期的なものなのです。
キーワードは「脱X線」。その技術の最前線を取材しました。

 今の医療に欠かすことができない、X線。手術をする医師も放射線を被ばく。健康に影響が出る恐れも。

 そんな中――

「X線に代わるものなどないと、先生たちは思っていたと思う」

 開発されたのは、X線を使わずに透視ができるシステム。

「脱X線」に挑む1人の研究者をカメラが追いました。

「こんな地味な作業をいつもしている。絶対に必要なので」(ファインバイオメディカル 社長 池田誠一さん)

 岡山市の医療機器メーカー「ファインバイオメディカル」の社長、池田誠一さん(47)。

 名古屋大学大学院にいた時に会社を立ち上げ、医師たちのニーズを聞きながら、医師のサポートをする技術を開発してきました。 

新たな発明「脱X線透視観察システム」

左が放射線、右が「脱X線透視観察システム」の技術で透視したカテーテルの画像

 その一つが、透明な血管の模型「EVE」。

 感触は、実際の血管とほぼ同じで、日本人の死因上位の「がん」や「心疾患」など、様々な病気を治療する「カテーテル手術」の訓練などに使われています。

「毎日夜なべして、もう体力勝負」(池田さん) 

 池田さんは去年、新たな発明をしました。それが「脱X線透視観察システム」です。

「肉眼では絶対に見えなかった、カテーテルがここです」(池田さん)

 左が放射線、右がこの技術で透視したカテーテルの画像です。

 不透明なチューブの中を通るワイヤがくっきりと透けて見えます。繊細な血管の中で、いつ金属のワイヤが出てくるか、しっかりと確認することができます。

「X線」を使わずに血管の中が確認できる

光源から出た近赤外線を上部の特殊なカメラで読み取り、間にある血管模型に挿入されたカテーテルを透視することができる

 これまで血管に入れたカテーテルは、X線を使わないと透視できませんでしたが、このシステムでは、X線を使わなくても確認できるのです。

 なぜでしょうか――?

「ここに光の発生源があり、ここから入った光が血管モデルに入っていく」(池田さん)

 光とは、人の目に見えない「近赤外線」。

 光源から出た近赤外線を上部の特殊なカメラで読み取ることで、間にある血管模型に挿入されたカテーテルを透視することができるのです。

 池田さんはこの技術の用途を手術の訓練やカテーテルの開発などに絞りました。

 背景には、長年抱える「医師の被ばく」の問題がありました。

「あまり被ばくすると、白内障のリスクがあがってしまう」

池田さんの技術開発にアドバイスをしてきた脳神経外科の泉孝嗣医師

 名古屋市の名古屋大学医学部附属病院。

 脳神経外科の泉孝嗣医師。池田さんの技術開発にアドバイスをしてきました。

「あまり被ばくすると、白内障のリスクがあがってしまうので、それを防ぐためのメガネです」(脳神経外科 泉孝嗣 医師)

 放射線から身を守るため、手術の際には重い防護装備が欠かせません。
   
「放射線を使わないと、体の中をきれいに透かして見ることができない。なるべく放射線を浴びたくないものです」(泉医師)

 さらに、カテーテル手術は、その操作を誤ると、大きな医療事故につながりかねません。
 
 スキルを上げるため、放射線を浴びながら訓練や試験を重ねることも。

「学会の先生からX線は、もう使うのをやめたいと」(池田さん)

 医師の安全を守るため、池田さんは研究を続け、開発は、量産化手前の段階まで進みました。

「感謝しかない」池田さんを影で支えた父親

影で支えたのは、父親の守孝さん(左)

 実はこのパーツ。多くは池田さんの手作りです。

 影で支えたのは、父親の守孝さんでした。

 守孝さんは、大学時代に自動車のシステムを学んだ経験を活かして、池田さんがパーツを思い通りに作れるよう、プログラムを制作しサポートをしてきました。

「全部自動計算できるようにした方がいいんじゃないかと。このような形で、父の名前でプログラムを作った」(池田さん)

 しかし、守孝さんは2024年、システムの完成を見届けることなく、がんで他界しました。

 父親との思い出を語る、池田さんでしたが――

「感謝しかないですね。父は小さい頃から僕にはずっと厳しかったんです。そんな父が亡くなる2カ月ほど前に『すごいな』と初めて褒めてくれて、それから何かが変わったような気がするんです」(池田さん)

医師「X線装置の見え方と全く遜色ない」

使いごこちを確認する泉医師

 父親の言葉を心の支えに、目指した「脱X線」という新しい世界。

 9月、その使いごこちを池田さんをサポートしてくれた医師に確かめてもらいました。

「X線装置の見え方と全く遜色ない。血管の弾力というか、カテーテルを入れた時の感触も人体のそれと差は感じないです」(泉医師)

 池田さんが大学院生の頃から、ともに研究をしてきた根来眞医師は――。

「脱X線のシステムは、世界で初めてだと思います。こういうことを考えた方はそういないですね」(脳神経外科 根来眞 医師)

「私の人生のミッション」

ファインバイオメディカル 社長 池田誠一さん

 10月末、池田さんの会社を訪ねました。
   
「中には特殊なフィルターが何枚も入っています」(池田さん)

 カメラに取り付けるフィルターを改良し、より鮮明に透視できるようになりました。

 現在は「試作品」の段階。量産化を視野に、パーツの小型化などを進めています。

 当面の目標は、この「脱X線」のシステムで体のあらゆる部分でのカテーテル手術の訓練やカテーテルの開発をできるようにすることです。

「せっかくご縁をいただいた、この観察システムの事業をしっかり立ち上げること。それがここから数年間のあるいは私の人生のミッション」(池田さん)

 新しい技術を、世界中の病院や医療メーカーに届けたい。

 医師の被ばくを減らすため、池田さんは研究を続けます。

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