
中部地区11連覇の愛工大名電高校チアリーディング部 集大成の全国大会で挑む初の大技…涙の結末

東海地方屈指のチアリーディング強豪校、愛工大名電。高校最後の大会に挑むキャプテンに密着しました。

愛工大名電高校チアリーディング部、通称「THUNDERS」(サンダース)。中部大会では驚異の11連覇中! 中部地方で無類の強さを誇る強豪校です。
そんなチームでひときわ大きな声を出しているのが、キャプテンの渡邊柚奈選手(3年)です。
「(チアリーディングは)相手のことを信用していないと成り立たないスポーツ。練習を積み重ねていくうちに、自然と仲が良くなるだけではなく、友達でもない唯一無二の関係が出来上がるところが魅力だと思っています」(キャプテン 渡邊選手)
彼女は今年1月、苦難に直面しました。
「悔しいって思いと、全員で作ってきた演技だったので、申し訳ない」(渡邊選手)
キャプテンとして初めて出る全国大会を目前に、右肩を脱臼。全治2ヶ月のけがを負いました。
それでも、チームのそばに居続けた渡邊選手。
「自分が練習に入っているときよりも、周りを客観的に見られる。自分が感じたことを伝えていくのを心がけた」(渡邊選手)
最後の夏に挑む“2回転半”

広がった視野に加え、復帰後に遅れを取り戻すべく磨いてきたスキルで、中部大会11連覇に導きました。
部員27人をまとめるキャプテン。ひとたびマットを離れると…
「キャプテン…というよりは、結構おふざけ系でおもしろいし、おちゃめ(笑)」(3年 加納栞奈 選手)
部活動紹介で魅了され、高校から始めたチアリーディング。母の真由美さんは、性格も変えてくれたと言います。
「明るくなったと思います。前は自分のことをあまり話さなかったんですけど、少しずつ自分のことを話すようになった」(真由美さん)
高校最後の夏。
「ジャパンカップの目標は5位入賞。ずっとそれに向けて練習をしてきた」(渡邊選手)
チアリーディングの甲子園とも呼ばれる「JAPAN CUP チアリーディング日本選手権大会」。
去年の6位を超えるため、大会1カ月前、渡邊選手をはじめ3年生の提案で、ある挑戦を始めました。
それは、1番上に乗る選手が2回転半をしながら上がる大技。これまで2回転だったのを、半回転足しました。
ここ4年、上位5チームは同じ顔ぶれ。その牙城を崩すTHUNDERS史上初挑戦の秘策です。
土台となる大切な役割を担う渡邊キャプテン。
練習では失敗の繰り返し。一発勝負の大会で成功させるため、練習を重ねてきました。
いよいよ本番、大技は?

8月31日、いよいよ本番です。
「絶対に大丈夫だよっていう気持ちで、目を合わせるようにしている」(渡邊選手)
きれいに揃ったジャンプで好スタートをきると、続くタンブリングも決めていきます。
そして、練習を重ねてきた2回転半! 初挑戦となる大技を見事成功。その後も息のあった演技を見せていきます。
しかし終盤、バランスを崩してしまいます。それでも高校最後の演技を笑顔で貫いた渡邊選手。
「かけがえのないものになった」

結果は7位。目標には届きませんでした。
「結果は出なかったけど、演技で(恩を)返してくれたから嬉しかった。結果が全てじゃないよ。やってきた練習と本番の1本、楽しかったでしょ」(愛工大名電 顧問 瀬脇春菜先生)
「チアしかしていないんじゃないかってくらい、毎日練習している日々だった。みんなで目標に向かっていくことの楽しさや、チームスポーツで深まっていく絆がすごく自分にとってかけがえのないものになったと思います」(渡邊選手)