
掲げた公約「いつからやれるか明言できない」 名古屋市の広沢市長 10%減税見送り

名古屋市が続けている市民税の減税について、来年度の10%減税は見送られることになりました
「大変厳しい財政状況であると考えて、2026年度については(減税幅拡大は)見送る」(名古屋市 広沢一郎市長)
10日、名古屋市の広沢市長が断念すると明言したのは、公約に掲げていた市民税の減税率拡大についてです。
広沢市長は、去年11月の市長選で、河村前市長が続けてきた市民税の5%減税を10%に拡大することを公約に掲げ、当選しました。
「この減税は誰も損していない。これを更に倍にしてまいります」(広沢市長)
しかし10日…。
「税収増を上回るだけの(生活支援のための)扶助費・人件費そのほかがかさんで、今回の状況に至った」(広沢市長)
広沢市長は来年度の市民税について減税幅を拡大せず、いまの5%減税を維持することを明らかにしました。
減税率を10%に引き上げるには、約100億円ほどの財源が必要ですが、名古屋市は、市民サービスを維持しながら財源を確保するのが難しいとしています。
市民からは「楽しみにしていたんだけど、しょうがない。行政を維持するのにお金は必要」という声や、「公約だけは実行していただきたい」といった声が上がりました。
厳しい財政状況の原因は…?
なぜ財源が確保できないのか。その理由の一つが来年愛知県と名古屋市が共催するアジア最大のスポーツの祭典「アジア・アジアパラ競技大会」です。
来年度に名古屋市が負担する大会の経費は425億円に上る見込みで、税収や市の貯蓄だけでは賄えない状況に。
もう一つ考えられる大きな理由が、ふるさと納税による税収減です。
2000円を引いた額が住民税や所得税から控除されるふるさと納税。地方の魅力的な返礼品を求めて寄付する傾向が強く、結果として都市部の税金が流出してしまう側面があります。
名古屋市でも…。
「(税収を)主にとられるのは都市部なので、名古屋で言うと200億円規模で出て行っている」(広沢市長)
名古屋市では今年度は190億円、来年度には212億円と年々税収の流出は増えるとみられています。
広沢市長の公約の「一丁目一番地」である減税の拡大。2027年度以降については…。
「1%でも2%でも(減税率を上げる)約束が守れるようにするのが私の責務。減税率の拡大をいつからやれるのかは明言できない」(広沢市長)