安福久美子容疑者(69)は取り調べ拒否 名古屋主婦殺害 ビラ配りしない初めての命日 事件発生からきょうで26年 遺族・高羽悟さん「待ち続けた逮捕…でもすっきりしない」

26年前、名古屋市西区の主婦が殺害され、10月末、安福久美子容疑者(69)が逮捕された事件。11月13日の今日が、ちょうど26年。被害者が亡くなった命日です。
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現場周辺を取材しました。
(大石邦彦アンカーマン)
「今から26年前の1999年11月13日、事件が起きました。あれから26年、周辺はどう変わったのでしょうか」
Q.26年で感じる変化は?
「古い住宅が壊されて、新しい住宅ができたくらい」
「昔から住んでいる人はだいぶ少なくなっていると思う。新しく来た人が多いと思う」
Q.事件を知っている人は少ない?
「そうだと思いますね」
(大石)
「今、わたしは容疑者の逃走ルートを歩いています。周辺を確認すると、マンションだけでなく、一般の住宅にも防犯カメラがついているんです。当時からこのような防犯カメラがあれば、容疑者の足取りをしっかり追うことができた。もしかしたらもう少し早く事件は解決していたかもしれません」
「喫茶店でしくしく泣かれ…」
名古屋市西区の主婦・高羽奈美子さん。1999年11月13日、自宅アパートで刃物で刺され殺害されました。約26年、未解決のままだった事件。しかし、10月末、急展開を迎えます。
高羽さんを殺害した疑いで逮捕されたのは、名古屋市港区の安福久美子容疑者69歳。26年追い続けていた犯人は、高羽さんの夫・悟さんの高校時代の同級生でした。
(高羽奈美子さんの夫・悟さん 11月1日)
「写真を見れば見るほど、そんなことができるような女性じゃなかったので、未だに信じられない」
学生時代、悟さんに好意を寄せていたという安福容疑者。
(悟さん)
「女性(安福容疑者)が1人ぽつんと(部活の)練習が終わるのを待っていて『付き合ってほしい』みたいな依頼だったと思うんですけど、『ここじゃあれだから』と喫茶店に行ったと思うんですよね。喫茶店で(安福容疑者に)しくしく泣かれて…(交際を)お断りしたから、泣いたと思う」
約20年後に開かれた、高校の部活動のOB会で再会したと言いますが…
(悟さん)
「結婚していて、バリバリ仕事して頑張っていると、自分でアピールするくらいだから、(印象が)すごく変わったなと思って」
事件が起きたのは、その5か月後。当時2歳だった息子の航平さんと部屋にいた高羽さんは、突然、訪ねてきた安福容疑者に襲われたとみられます。
安福容疑者は“取り調べ拒否”
事件解決のため、悟さんが借り続けてきたアパートの玄関に残された安福容疑者の血痕。
決定的な証拠を残しながら、安福容疑者は事件後も名古屋市内で夫や子どもと生活していて、逮捕されたときはスーパーで事務員のアルバイトをしていました。
逮捕当初、取り調べに対し「26年間毎日不安だった。家族や親族に迷惑をかけられず捕まるのが嫌だった」などと話した安福容疑者。しかし、その後は一転、黙秘する意思を示し、取り調べを拒否しています。
“ビラ配り”のない命日
発生から丸26年が経つ直前に急展開した事件。きょう11月13日は、高羽奈美子さんの26回目の命日です。
夫の悟さんは、毎年この日に情報提供を呼びかける「ビラ配り」を続けてきましたが、26年目の今年は、それをしない命日となりました。
(大石)
「これまでの四半世紀の命日とは違うわけですよね?」
(悟さん)
「いつもはビラ配りをする朝、署長室に入って、15分から20分懇談する。『1年間お世話になりました。ことしでビラ配りは最後にして、来年はやらないようにできたらいいですね』と言って別れていたが、やっと念願叶ったなと思って」
(大石)
「去年の命日の日は、こんな命日になるとは思っていなかったでしょう」
(悟さん)
「26年前は本当に不安でしょうがなくて、子どもを抱えて仕事が続けられるだろうか、いろんなことを思った。みんながよく助けてくれたなと思います。26年前の自分に声をかけるとしたら、『本当にみんなが助けてくれるから、心配することないよ』と。今でも泣けるんですけど、本当に思います。航平が奈美子の親友の娘さんと結婚するとか…想像を絶する。こんなありがたいことはない。こんな奇跡のようなことは…」
命日のビラ配りに参加していた長男の航平さん。2024年11月に結婚した相手は、亡き母・奈美子さんの親友の娘でした。
待ち続けた容疑者逮捕 でも「すっきりしない」
(大石)
「高羽さんがずっと頑張ってこられたから、周りが応援してくれたのでは?」
(悟さん)
「いつも息子も『執念』だと言ってくれる。執念というより、これをやらなければ航平が大人になったときに、『何でお母さんは殺されているのに犯人捜ししてくれなかったんだ』とか、そう思われるのが本当に嫌だった。絶対息子のためにも捕まえないと。捕まえられなくても、『お父さんはこれだけやった』ということを話したいなと思った」
長年待ち続けた容疑者の逮捕。しかし、気持ちが晴れたわけではないと悟さんは話します。
(悟さん)
「念願の(ビラ配りを)しなくていい命日が来たということでね、すごく期待していたがすっきりしない」
安福容疑者は、逮捕当初こそ取り調べに素直に応じていましたが、その後は取り調べ自体を拒否しています。
「もし天国で再会できるなら…」
(悟さん)
「遺族に対する誠意として、裁判を一刻も早く終わらせる、すぐに刑務所に入る、そういうことが遺族に対する誠意・謝罪かなと思っていましたけど、それもする気がないなと思ったらがっかりした。反省していないなということですね」
(大石)
「奈美子さんにはどんな報告をしますか?」
(悟さん)
「進展がない限り(報告が)できない。報告しないことに怒りはしないと思いますけどね。待っていてくれると思います。ただ、自分が死んだとき、もし天国で再会できるなら、『頑張ったね』と言ってもらえると思っていたが、私の関係者が犯人だったから、私の方が謝らなければ…」
CBCテレビ「チャント!」「newsX」2025年11月13日放送





