DNA型鑑定 地球上にただ1人というところまで特定 進歩する技術に法整備の壁

発生から26年を迎えた名古屋市西区の主婦殺害事件。逮捕の決定打となったDNA型鑑定。その精度はどこまで進化しているのか取材しました。
26年間、高羽悟さんが借り続けた現場のアパートの玄関に残された血痕や靴の跡。
この血痕のDNA型が安福容疑者のDNA型と一致し、逮捕へと至りました。
逮捕の決定打となった「DNA型鑑定」。その精度はどのようなものなのか。科学捜査に詳しい、法科学研究センターの雨宮正欣所長は。
「26年前ですと、1000万人から2000万人、東京都に1人ぐらい同じ人がいるぐらいの確率、これぐらいの率まだ絞り込めることはできたんですけども、それが限界だった。それが今は“京”という単位ですから、“兆”の上、地球上にただ1人というところまで特定できるぐらいのDNAの鑑定技術は上がっています」(雨宮所長)
血液や皮膚片などから採取した資料をもとにDNAを分析するDNA型鑑定。技術の進歩で、以前よりも少ない資料から鑑定ができるようになったほか、鑑定のスピードも上がっているといいます。
懸命な捜査が逮捕に

ただ、いくら「DNA型鑑定」ができても、DNA型を比較する容疑者を見つけ出さなければ前には進めません。
雨宮さんは警察の懸命な捜査が逮捕につながったと評価します。
「DNAというのは必ず比較対象がないと意味がない。つまり候補者を絞れば絞るほどそのDNA型鑑定が生かせるということになる。したがって今回26年ぶりに被疑者が逮捕されたという、これはいわゆる捜査の力とDNA型鑑定の力、この2つが合わさって成し遂げたことだと思っています」(雨宮所長)
進歩する技術に法整備の壁

犯罪捜査で力を発揮するDNA型鑑定。いま、容疑者の絞り込みに向けても新たな研究が進められています。
「(DNAは)ほとんど人間の情報としては、もうすべて解析できてるって言われてますから、そういったときに、ここの部分の型がこういう型だとこういう特徴を示すというデータベースがあれば、その情報をもとに組み合わせることによって、DNAからいわゆるその顔のモンタージュ写真、これが作成することが可能になるという技術」(雨宮所長)
ただ、「究極の個人情報である」DNAは慎重に取り扱う必要があり、日本ではこうした技術はまだ捜査に活用されていないといいます。
高羽さんが所属する殺人事件の被害者遺族らでつくる「宙の会」では、DNA情報の活用をめぐる法整備を求めています。
「DNAの遺伝子情報を使って、年齢を絞るとか顔の形をモンタージュのような形で作るとか、もっと捜査の網を絞る、そこを当たればもっと早く捕まるというのを望んでいる。科学の進歩とともに法律がついてきていないという感じがする。そこを検討してもらいたい」(高羽悟さん)





