
【参院選/何で選ぶ?】「正直厳しい」たった2%の賃上げが限界…町工場が技術力で挑む“生き残り” 中小企業の厳しい現実と希望

本当はもっと上げてあげたいー。社員7人の町工場にもついに届いた、賃上げの波。社長夫妻の苦しい胸の内とは。
“持続的な賃上げ”が大きな経営リスクに…

愛知県小牧市のモノづくり企業、「ダイキ精工」。創業52年、社員7人の町工場です。
「自動車部品とか火力発電所の設備の部品の金型を作っています」と工場内を案内してくれたのは、『ダイキ精工』代表取締役・斎藤宏和さん。同社では、複雑な形の部品をつくるときに使われる金型を、自動車部品メーカーなど国内3社に納めています。

この工場を切り盛りしているのが、斎藤さん夫妻。コロナ禍で、銀行から借りた5,000万円を返済しながら、事業を続けています。
そんな中、今、経営の重荷となっているのが、賃上げ。今年、給料を2%上げましたが、コストの増加に厳しさを感じていました。

『ダイキ精工』代表取締役・斎藤宏和さん
「賃上げは十分必要だと思っていますし、現在仕事が安定しないものですから、将来的に利益を確保するということを、やっていきたいとは常々思っています。ただ、ベースアップのような確実にコスト増加となるような施策は、正直厳しいかなと思っています」
物価高騰で、アルミなどの原材料費と電気代もあがるなか、求められる“賃上げの動き”。物価高騰や持続的な賃上げが、経営を左右する大きなリスクになっていました。
技術力で挑む!“クマ鈴”に託した希望

賃上げに対して、“本当はもっと上げてあげたい”という思いを抱える斎藤さん夫妻。しかし現実は、2%の賃上げが限界です。
社員らからは、「うち子どもが2人いて。今子育て中なので、(賃上げを)もう少し考えてもらいたいなという思いはあります、正直なところ」、「物価も上がってきたので、給料も少しずつ上がればいいなと思います」など持続的な賃上げを期待する声が聞かれました。

そんな厳しい経営状態を打ち破ろうと立ち上げたのが、オリジナルブランド。各地でクマに襲われる被害が相次ぐ中、金型づくりで培った高い技術力で、“クマよけの鈴”を生産して販売。アルミ製の釣り鐘型のクマ鈴は、約700個売れました。


そして今年は、クマの顔を模した形で、鈴だけでなく笛として使える機能が付いているものも開発。通学・アウトドア・防災のグッズとしても使える、“多機能なクマ鈴”です。
『ダイキ精工』取締役・斎藤早苗さん:
「すぐに結果が出ないかもしれないけれど、この技術を次の世代につなげていくということを大切に、私たちはこれからもモノづくりを続けていきたいと考えています」

モノづくりを長く続けていくため、細部まで加工することができる高い技術力を活かし、挑戦していく町工場。
参院選で投じる、一票に託す斎藤さん夫妻の思いとは…。

『ダイキ精工』取締役・斎藤早苗さん:
「賃上げしても、その分、社会保険料が上がるので、実質の手取り額っていうのは、そんなに増えてないんですよ。手取りが増えたなと実感できるのは、例えば、消費税・所得税の減税とか、減税っていうのが大きいんじゃないかなと思います」

『ダイキ精工』代表取締役・斎藤宏和さん:
「我々のような中小企業も、生き残っていけるような政策も進めていただけると、うれしいと思います」
各政党の賃上げに対する考えは?

“賃上げ”のひとつの手段である、最低賃金の引き上げ。しかし、最低賃金を上げるだけでは、「出せる給料がない」という企業がでてきてしまう可能性があります。
斎藤さん夫妻もコストとして気にしていた、社会保険料の負担を減らして、実質的に賃金をあげることに言及している党もあります。
各党の HP に公開されている「公約」に表記があった「最低賃金の引き上げ」、「社会保険料の軽減」に対する考えは、下記の通りです。日本保守党はどちらも表記はなく、「減税を通じた経済活性化」を訴えています。

技術を持っている中小企業が、“生き残れる形”で賃上げが進むには、どうしたらいいのか。誰に一票を投じるのか、その参考にしてください。