働く保護者が悩む「小1の壁」 早朝の学校で子どもの“居場所づくり” 愛知・大府市

朝の出勤時間よりも子どもの登校時間が遅く、子どもだけの留守番や登校を心配しているご家庭もあるでのはないでしょうか。そうした状況の解消に役立てたいと、登校前の子どもたちの“居場所づくり”の試みが、愛知県大府市で始まっています。
午前7時すぎ。登校にはまだ少し早い時間ですが、小学校の体育館には子どもの姿が。
愛知県大府市で9月から、小学校2校で「小学生の早朝の居場所づくり」のモデル事業が始まりました。
子どもたちが過ごせるのは、午前7時からの1時間。
家から持ってきた本を読んだり、市が準備したカードゲームや折り紙などで遊んだりしながら過ごします。
利用無料 シルバー人材センターのスタッフが見守る

事前登録が必要ですが、予約は不要で利用無料。
実施校に在籍し、通学団での登校時間よりも保護者の出勤が早い家庭の児童が利用できます。
見守るのは、委託を受けたシルバー人材センターの3人のスタッフです。
市長「保護者を支援していきたい」

取り組みの背景にあるのは、いわゆる「小1の壁」と呼ばれる課題です。
大府市の保育園では午前7時からの預かり保育をしている園もありますが、小学校に上がると登校時間が遅くなり、保護者の出勤時間と合わないケースが少なくありません。
その結果、働き方を変えざるを得なくなることもあるといいます。
視察に訪れていた、大府市の岡村秀人市長は――。
「保護者の方からすると、安心して預けて仕事ができる。“小1の壁”を解消すべく、市としてもしっかり保護者の方の支援をしていきたいと思っています」
大府市は今年度、国の補助金で確保した273万円の予算で、モデル校2校で取り組みを進めます。その結果を受けて、今後どうするかを考えたいとしています。
「小1の壁」とは

こども家庭庁の調査研究報告書のデータです。
小学生の子どもがいる働く保護者約3700人に尋ねたところ、平日の朝に「自宅で子どもが1人で過ごす時間がある」と答えた人は全体の49%にのぼりました。
そして、 その6割弱が子どもが1人で過ごすことに「不安がある」と答えています。
保育園に通わせていた子どもが小学校に入学すると、登校や下校時間のタイミングなどの違いもあって、仕事と育児の両立に悩む人も少なくありません。