「同じ高校の友達しか乗っていない」赤字続く名鉄「西蒲線」は必要か　2026年度以降も存続が決定

西尾市と蒲郡市を走る通称「西蒲線」。名鉄西尾線の西尾駅から吉良吉田駅までの9.7キロメートルと、名鉄蒲郡線の吉良吉田駅から蒲郡駅までの17.6キロメートルのことを指します。「西蒲線」は利用者数が増えず長年赤字が続いています。このため2025年度までの運行は決まっていますが、2026年度以降の存続は検討中となっています。

利用客：
「朝とか夕方は同じ高校の友達しか乗っていない。（廃線になったら）困りますね。そうすると学校に行くのが大変になる」
「吉良方面はあんまり利用客はいないかな。吉良の方だと蒲郡に行けばいろいろあるし、こどもの国（児童総合遊園施設）に行くのもこの線に乗らないといけない」

存続が危ぶまれている西蒲線　1日の延べ利用者数3000人にも満たない

存続が危ぶまれている西蒲線ですが、名鉄西尾駅から蒲郡駅までの輸送密度を調べました。まず輸送密度とは、1路線において1日の延べ利用者数を路線の距離で割った1キロあたりの平均利用者数です。

この輸送密度、1日あたり4000人に満たないと輸送コストなどから鉄道でなくバスでの輸送が適当であるとされますが、西蒲線は10年以上の間、1日あたり4000人を下回っていて1日3000人にも満たないような状況で運行をしています。

2023年度は9億円近い赤字　西尾市と蒲郡市が補助金を出すも厳しい状況

損益を見ると、2023年度には支出が約12億3000万円、収入が約3億5000万円で、9億円近い赤字となっています。西尾市と蒲郡市が2011年から毎年2億5000万円の補助金を出すことで運行を維持してきましたが、2026年度以降の運行がどうなるか決まっていませんでした。

「西蒲線」は2026年度以降も存続　年間4億円～4億5000万円を西尾市と蒲郡市で負担

3月19日、今後の「西蒲線」のあり方を話し合う会議が開かれ、2026年度以降も存続する方針を確認しました。会議に参加したのは西尾市、蒲郡市、名古屋鉄道、愛知県、中部運輸局です。

会議では2027年度からの15年間、西蒲線のうち吉良吉田から蒲郡駅までの蒲郡線を「みなし上下分離方式」とすることで、西尾駅から蒲郡駅までを2026年度以降も存続させる方針を確認しました。

「みなし上下分離方式」は鉄道施設の維持や整備にかかる費用を自治体が負担する事業方式です。今回、15年間という長いスパンで支援を決定することで設備投資をしやすくする狙いがあります。維持管理費と設備投資費として年間4億円から4億5000万円を西尾市と蒲郡市で負担することを見込んでいて、具体的な負担額は今後の協議で決まる見通しです。

今回の方針の決定に関して名古屋鉄道は「事業者として自治体と協同して進めて参ります」とコメントしています。