「探求心持てばワクワクがある」黄綬褒章受章の老舗ホテル総料理長の「ストイックな仕事」ぶり

さまざまな分野で功績があった人や、社会に尽くした人などに贈られる褒章の受章者が発表され、愛知県からは31人と2団体が選ばれました。
社会奉仕活動に貢献した人などに贈られる緑綬には1人と2団体、公共の利益や福祉に貢献した人などに贈られる藍綬には15人、長年にわたってその道一筋に励んできた人に贈られる黄綬には15人が選ばれました。
このうち、黄綬を受章した老舗ホテルのシェフを取材しました。
総料理長の経験が生きた「ビーフカツレツ」

愛知県蒲郡市にある蒲郡クラシックホテル。1934年の開業以来、90年以上続く老舗です。その厨房を支えるのが、波多野忠明総料理長。長きにわたり探究心を持って料理に取り組む姿勢と、後輩の指導・育成が評価され、黄綬褒章を受章しました。
蒲郡クラシックホテル 波多野忠明総料理長:
「『あのときの料理おいしかった』と言ってもらえるのが嬉しい」

18歳で料理の世界に入って以来、40年以上、料理人を続けてきた波多野さん。その経験が生きている料理が「ビーフカツレツ」です。実はこのビーフカツレツ、池波正太郎ら文豪たちもこよなく愛したという伝統の逸品。一時、メニューから姿を消しましたが、波多野さんが当時の資料などを基に地元の食材を使って再現。2017年に提供を始めました。
蒲郡クラシックホテル 波多野忠明総料理長:
「戦前に作られたビーフカツレツは(肉が)薄い。それを現代風にアレンジして、肉を厚めにして」
長い料理人人生の間にはこんなことも…
蒲郡クラシックホテル 波多野忠明総料理長:
「孫を連れてきたおじいさんがいた。孫が初月給で連れてきて、(孫が)『今日は私の奢りなんだ』と。ここが思い出の地ということで、そのときはちょっと涙腺が緩んだ。一度来た客には、なるべく趣向を覚えておいて(好みの味の料理を)出すようにしている」
「仕事はストイック」料理を追求する姿は部下にも影響を…

伝統を受け継ぎながらも、常に食べる人のことを考えて料理を追求する姿に部下は…
蒲郡クラシックホテル 牧原千夏さん:
「ストイック。私もそこを見習って、どの場面でもストイックに1つ1つの仕事に誇りをもってやりたい」
蒲郡クラシックホテル 波多野忠明総料理長:
「探求心を持てば面白い発見があって、ワクワクすることもあるので、みんな探求心をもってやろうよという風に(後輩たちを)指導していきたい」

波多野さんに、いまワクワクしていることを聞いてみると…
蒲郡クラシックホテル 波多野忠明総料理長:
「高級食パン。今まで作ったことのない高級食パンをやることによって、いろんな粉の勉強だったり、砂糖の役割だとか、改めて勉強し直す機会をもらった」
今後の目標は…
蒲郡クラシックホテル 波多野忠明総料理長:
「(ホテルの)会長には一生やってくれと言われているので、実際やってみて返事をしたいと思う」
波多野さんのワクワクは、これからも続きそうです。