
気温上昇で“熱あたり”に注意 3人に2人が経験か 暑さに体を慣れさせ、食事で対策 医師が解説

今週は夏日となる日も多く、平年以上の暑さが予想されます。この暑さで注意が必要なのが、体に熱がたまり、体調不良を引き起こす「熱あたり」です。

暑くなると毎年心配なのが、熱中症などの体の不調です。近年の気温の上昇により、熱による体の不調を訴える人は増加傾向にあるといいます。
大手空調メーカーの「ダイキン工業」は過剰な熱を体の外に逃がし続けることで蓄積する疲労や、体に熱がたまって起こる熱中症などを“熱あたり”と定義し、20歳以上の男女1万4100人を対象に全国で実態調査を行いました。
その結果、約3人に2人にあたる64.6%が去年の夏に、何らかの“熱あたり”を経験した可能性があることが分かりました。
13日から夏日が見込まれる中、懸念される“熱あたり”にどう対処すればいいのか。
熱中症に詳しい済生会横浜市東部病院の谷口英喜医師は、入浴やジョギングなどで、事前に暑さに体を慣らしておくことが大事だと指摘します。
熱あたりとは?

Q.「熱あたり」とはどのようなものか
「暑さによって体に熱がこもって生じる体調不良。軽いものから熱中症までの体調不良の総称です。代表的な症状が、疲れがとれない。熱によって体の中に疲労物質がたまるが、それが増えてくるとなかなか外に出せなくて疲労がたまる」
「もう1つはおなかの調子。特に食欲の低下という形で出やすいです。私たちの中では消化酵素という胃液や腸液が働いてくれて消化吸収を助けてくれているが、熱がこもることによってこれがダメージを受ける。そして食欲低下や下痢・おう吐などひどい症状になります」
「さらには私たちが普段できている日常生活のパフォーマンスが低下します。例えば筋肉が熱を持ったりすると、運動のパフォーマンスが低下したり脳に熱がいくと思考能力や集中力が低下したりして仕事にも影響が出てくる。これが熱あたりの症状です」(谷口 医師)
「熱あたりは、軽度の症状の方が圧倒的に多くて、熱中症というのはほんの一部。熱中症になりそうだけども自力で戻ってくる人がほとんどなので、そこまでを含めて熱あたりと呼んでいます。暑い環境に体がどう反応するかによって、熱あたりや熱中症にならないかどうかは決まってきます」(谷口 医師)
食べ物でも熱あたり対策

Q.「熱あたり」は食事でも対策がとれるのか
「暑熱順化というと、運動したりして汗をかくのがあるが、それを更に助けてくれる食事として、おすすめなのはキウイです。これは暑熱順化に大切な水とビタミンC。これがあると汗を出したり体をコントロールしやすくなる」
「ビタミンCはキウイ1個に1日に必要な量の半分入っている。そしてカリウムや食物繊維も入っているので、汗から失われたカリウムを取ることができ、食物繊維でおなかの調子を整えてくれるので食欲低下を抑えてくれます」
「さらに魚介類もおすすめで、魚介類にはタウリンという栄養ドリンクなどで入っているような成分が入っていて、これも暑熱順化を助けてくれるということが研究の結果明らかになっていて、暑いところに行った時に自律神経が反応して汗をかいたり皮膚の血管を広げたりして体温をコントロールしてくれやすくなる」(谷口 医師)
熱あたりにかかりやすい年齢は?

Q.熱あたりになりやすい年齢はあるのか
「お子さんとか高齢者がなりやすいんですが、どうしても自分の体調の感じ方や表現のしにくさもあるから、研究結果からいくと20代から60代まで全部の年齢層がかかりやすい」(谷口 医師)
Q.熱中症は高齢者がなりやすいイメージだが…
「熱あたりは全部の年齢がなりやすいが、熱中症は高齢者の方がなりやすい。この違いは何かというと、高齢になると体温コントロールがうまくできなくなったり、水分を取らなくなったり、暑さを感じにくくなったりという点があるので、自力で熱中症にならないような防御反応っていうのは弱っているからなりやすい」(谷口 医師)
Q.もし熱あたりになってしまったらどのように対応すれば良いか
「いろんな対応方法があるが、まずは熱あたりになりにくい環境に移動する。エアコンの効いた部屋に移動する。そして水分補給や休息をしっかりとるということが大事になってきます」(谷口 医師)