ゴミ処理施設で火事…原因はリチウムイオン電池? 復旧などにかかった費用は約4000万円

モバイルバッテリーやハンディファンなど、様々なものに使われている「リチウムイオン電池」。しかし、熱や衝撃に弱く、地面に落下するなど強い衝撃が加わった場合、内部のリチウムイオン電池がショートし、発火や爆発する恐れがあるのです。
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(松本道弥アナウンサー)
「愛知県大口町のゴミ処理施設です。こちらにゴミ収集車がやってきて、廃プラスチックゴミを搬入します」
このゴミ処理施設では江南市と大口町、扶桑町の生ゴミや、生活雑貨などに使われた「廃プラスチックごみ」など1日に約100トンを処理しています。
敷地内にはずらりと並んだゴミが。これは一体…
(江南丹羽環境管理組合 中島智さん)
「廃プラスチックを破砕して、圧縮梱包したもの」
ことし4月、この場所でリチウムイオン電池が原因とみられる火災が発生しました。
ごみ処理場で火事を防ぐのは限界が…
(江南丹羽環境管理組合 中島智さん)
「この機械の奥に破砕機があった。そちらで火災が起きた。建物から煙がモクモク出るような大火事だった」
現場の状況などからごみを細かく砕く工程で、ごみに混ざっていたリチウムイオン電池から火が出たとみられています。
この火災により破砕機などが燃え、約2か月間、廃プラスチックごみなどの処理がストップ。復旧などに約4000万円がかかりました。
しかし、こうした火事をごみ処理場で防ぐのは限界があるといいます。
リチウムイオン電池の選別には専用の機械が必要で、コストがかかり、約3年後に閉鎖が決まっているこの施設での導入は難しいのが現実。
現在は搬入場所の上からリチウムイオン電池のようなものがないか目視で確認していますが、すべてを取り除くのは不可能だと言います。
(松本)「ゴミを出す私たちが気をつけることは?」
(江南丹羽環境管理組合 中島智さん)「やはり分別が一番。住んでいる自治体に確認いただいて、処理してほしい」
こうした中、火が出にくい新しい商品も出ています。
去年12月に発売されたモバイルバッテリーは、中の電解質を液体から半固体に変えることでドリルで穴をあけても火が出ません。従来のものだと、穴が開いた瞬間に炎と煙が…
しかし、このモバイルバッテリーの普及はごく一部です。
いまや現代社会になくてはならないリチウムイオン電池。様々な商品に普及する一方、それだけ危険が広がっていることを忘れてはなりません。