
高級車の助手席ドアに開けられた穴⁉ 名古屋周辺の自動車販売店で相次ぐ 海外での転売ルートをもつ犯行グループ関与か

車の助手席のドアに穴を開ける、新たな盗みの手口が確認されています。
名古屋周辺で連続発生したランドクルーザー窃盗。
自動車販売店の防犯カメラには、その手口の一部始終が記録されていました。
名古屋周辺で相次ぐ“ランクル窃盗”
これは、名古屋近郊の自動車販売店の防犯カメラに記録されていた先月23日の映像です。
手前に見えているのは、トヨタの高級車ランドクルーザーです。

時刻は午前3時半ごろ。
店内に設置された防犯カメラを見つけ、指を差す2つの人影が認められます。
すると、青い作業服の人物が車に近づき、助手席のドアに工具を使って穴を開け始めました。
それから約3分後。
手のひら大の穴を開けると、白い作業服の人物に交代。
先ほどとは別の工具を使って、今度は開けた穴の中を物色しています。
6分ほど経過した時、車のライトが点滅しました。車のドアのロックが解けたようです。
ここまでにかかった時間は10分ほど。
白い作業服の人物が車に乗り込み、エンジンを起動しました。
ところが、そのまま逃走するかと思いきや、車から降りてきました。
店内に設けられた段差で車体に傷が付くのを嫌がったのでしょうか…?
青い作業服の人物が、どこから持ってきたのか、段差の近くにコンクリートブロックを置きました。
再びエンジンを始動させると、勢いをつけてバックし、ブロックごと段差を突破します。

現場に部品の一部を残したまま、車を盗んでいきました。
防犯カメラが捉えた“ランクル窃盗”の一部始終の瞬間です。

愛知県内で今年6月までの上半期に確認されている自動車の盗難被害の件数は、愛知県警によりますと639件ということです。
実は、去年の同じ時期に比べて約1・5倍増加していて全国ワーストといいます。
“ランクル窃盗”の被害は、名古屋市内の別の自動車販売店でも発生しています。

ジースタイル ゴンサルベス・アンドレ社長:
「助手席のドアの表面が破られているのが見えると思うんですけど。あと、ドアの中の配線も切られている状態です」
こちらの場合も、助手席のドアに穴が開けられていました。

今月1日未明に姿を現したのは、またもや白い作業服と青い作業服の2人組。
先月に被害のあった自動車販売店で撮影された2人組と服装が似ています。
今回の場合も、助手席のドア付近を物色。工具で穴を開けているように見えます。

さらに、販売店に隣接する建物に設置された防犯カメラには、作業服を着た人物がコンクリートブロックを運び去る様子が捉えられていました。
途中、ブロックを腕から落としても、気にすることなくお構いなし。
慌てる様子もありません。

ジースタイル ゴンサルベス・アンドレ社長:
「こちらにブロックを積んだ後、足場の板として使うような鉄板をスロープ代わりにして、展示場所から車を下ろしてこようとしていたみたいですね」
ただ、今回は、8分ほど車の助手席のドアを探り続けていましたが、何かに気づいたのか、2人組は走って逃げていきました。
車が盗まれることはありませんでしたが、車のドアに開いた穴の修理費などの被害額は約100万円に上るといいます。

ジースタイル ゴンサルベス・アンドレ社長
「怒りと悔しい気持ちでいっぱいです。ドアを直したからといって車が売れるかといったら、なんとも言えない…」
専門家によりますと、どちらの場合も車のドアに開けた穴から配線を取り出して電子回路を乗っ取る手口で、去年ごろから全国の犯行現場で見られるようになったということです。

自動車盗難防止協会 山田晃史理事:
「今のままだと、ほぼほぼ時間さえあれば盗むことができてしまう。市場にいま出回っている新しい車に関しても、同じような盗難の手法になってくるので、狙われるケースがもっと増えることは十分にあり得ます」
“ランクル窃盗”を元警察の佐々木氏が分析

恩田千佐子アナウンサー:
「特定の車が狙われているんですね」
元埼玉県警捜査一課の佐々木成三さん:
「昔の自動車盗難というのは、犯罪者自身が乗る目的で車を盗んでいました。しかし、今はほとんど転売が目的になっています。そして、転売といっても国内ではなく、海外で転売しています。車に穴が空いていても、買い手はいます。車を真ん中から真っ二つに切断しても、海外で溶接して転売するケースもあります。輸出・転売ルートをもっている犯罪組織がこういった犯罪に関与しています」
恩田千佐子アナウンサー:
「防犯カメラの映像にもありましたけど、手慣れた感じで手口がスムーズですね」
元埼玉県警捜査一課の佐々木成三さん:
「犯人グループは、顔を覆い隠してますね。防犯カメラがあるという前提で盗難をしています。防犯カメラでは抑止になってないです。実行犯、車を売り買いする人、運び屋もいます。実行犯は車を盗んだら、コインパーキングに一度停めるんです。そして、車にGPSなどが付いていないことを確認して、車を取りに来るんです。役割分担を徹底しています」
恩田千佐子アナウンサー:
「狙われるともうダメなのでしょうか?」
元埼玉県警捜査一課の佐々木成三さん:
「犯罪者組織も手口が巧妙になっているというか、進化してるんですよね。対策としてオススメなのは、後付けのイモビライザーです。ハッキングされても、通常使用のキーに加え別のキーもないとエンジンをかけられません」

望月杏夏アナウンサー:
「お盆休みに車をガレージに置いたまま、旅行に行くといった機会も多いので要注意です。今すぐできることとしては、車の左側や後方に空間(スペース)をつくらないように、壁ギリギリに駐車するなどの対策が重要ということです」