ノーベル賞の受賞が決まった坂口志文さん 研究の原点は「愛知県がんセンター」 妻との出会いも

原点は「愛知県がんセンター」。ノーベル賞の受賞が決まった坂口志文さん。研究の原点も、妻との出会いも愛知県がんセンターでした。
坂口さんの研究の“原点”となったのは――
「大学を卒業して博士課程に入ったが、自分が本当に何の研究をしたいかということで、いろんなことを勉強していたときに、愛知県がんセンターで、非常に面白い研究をされていると、思い切って大学院を辞めて、愛知県がんセンターで勉強をさせてもらった。その時の決断というのは、現在につながっていると思います」(大阪大学 坂口志文 特任教授)
当時26歳の坂口さんは、京都大学大学院の博士課程を進んでいたものの、中退。
愛知県がんセンターの研究生になる“決断”をしました。
その決断が“現在につながった”という愛知県がんセンターは――
「当時を考えるとここまで大きな成果になるかどうかは分からなかったと思うが、面白い研究をしているということで、ここに飛び込んできてくれた。受賞まで48年ということで、研究は時間がかかるけど花開くこともあるし、情熱を傾けて、打ち込むことが非常に大事なんだなと」(愛知県がんセンター 井本逸勢 研究所長)
さらに、坂口さんが妻・教子さんと出会ったのも愛知県がんセンターでした。
坂口さんが研究生として所属していた当時、医学部の学生だった教子さんが研究室の見学に訪れたことが出会いだといいます。
愛知県がんセンターでは今も免疫細胞に関する研究が行われる

坂口さんの研究の礎となった愛知県がんセンターでは今も免疫細胞に関する研究が行われています。
「中央に大きく見えているのががん細胞で、小さい動き回っているのがナチュラルキラー細胞。がん細胞と結合して、いまがん細胞を殺している」(愛知県がんセンター 腫瘍免疫応答研究分野 鍋倉宰 分野長)
坂口教授が発見した、過剰な免疫反応を抑制するブレーキの役割である「制御性T細胞」とは反対の、がん細胞をやっつける「ナチュラルキラー細胞」の研究が行われていました。
「ナチュラルキラー細胞は、腫瘍細胞と結合して殺すことができる細胞で、坂口先生が見つけたのは、どちらかというとブレーキとか、制御のイメージになるので、逆のはたらきの細胞になります。治療ができないがんに、新しい治療法を提供できるように、NK(ナチュラルキラー)細胞を使って、基礎研究・橋渡し研究に注力していく」(鍋倉分野長)
愛知県がんセンターで研究する学生は――
「本当に今の教科書を塗り替えるような発見をされた坂口先生が、自分と同じ環境で勉強していたということが、すごく大きな刺激になっています」(大学3年生)
坂口さんは今後について――
「がんっていうのが、怖い病気じゃなくて、治せるものだというような時代に、必ずなると思っています」(大阪大学 坂口志文 特任教授)