
一風変わった75年以上続く伝統行事「ファイヤーストーム」 男子生徒がたき火を囲んで歌い踊る 愛知・豊橋東高校

愛知県豊橋市の豊橋東高校では、一風変わった伝統行事があります。「ファイヤーストーム」と呼ばれる行事で、体育大会が終わった後、夕暮れから夜にかけて男子生徒がたき火を囲んで歌い踊り、きずなを深める趣旨で行われています。
75年以上続いてきた伝統があり、同校の生徒や卒業生の間で「秋の風物詩」として語り継がれています。
ストームには、1年生は原則参加です。2、3年生は希望者のみの自由参加ですが、リーダーやそれに準ずる要職は3年生が担います。
行事当日まで複数回練習を実施し、3年生が下級生を激しくハッパをかけながら指導します。
行事の特徴は、上半身着衣をまとわぬ姿となった男子生徒が、学校に伝わる独自の「デカンショ節」を歌いながら、たき火を囲んで円陣となります。
円陣となった際には、隣になった生徒と肩を組み、かがんだ姿勢となった自分の太ももに隣の生徒を座らせるようにします。連日、練習を繰り返しながら、団結力を深め完成度を高めていきます。
豊橋東高校は1902年(明治35年)4月、女子が就学する「豊橋町立高等女学校」として創設されました。そして1948年4月、学制改革によって、男女共学の豊橋市立高等学校となりました。しかし、当時は女子生徒が大多数で男子が少なかったため、男子生徒どうしの団結力を深め確認し合う学校行事としてストームが始まり、これまで続けられてきたといいます。
2020年ごろからのコロナ禍で一時は中断していましたが、23年に再開されました。
ファイヤーストームは、夜7時ごろに終盤に差しかかった時点で、3年生が高校3年間でお世話になった教員を大声で呼び寄せて、感謝の意味を込めてバケツで水を浴びせる場面があります。見所のひとつで、それが終わった後は打ち上げ花火を会場の全員で見上げます。
このファイヤーストームにはもうひとつの局面があり、行事が終わった後に告白の意味も込めて、女子生徒が好意を抱く男子生徒にカルピス飲料のペットボトルを手渡します。昭和の時代には、「女人禁制」で女子生徒は見ることもできなかったということです。ただ、ファイヤーストームに臨む男子生徒のために、おにぎりや惣菜の差し入れが教室に置かれていたそうです。
このカルピス飲料を女子生徒が男子生徒に手渡す情景は、実際のカルピス飲料のCMにも採用され、現在放映されているテレビなどでのCMでも、カルピス関連飲料のイメージといえば「女子高生のはつらつとした姿」という印象をもっている人は多いと思われます。
高校の先生は「いつまでもこの伝統を続けていきたい」と話しています。