【未解決】三重・松阪市 男性遺棄事件から14年…“時効の壁”と闘い事件解決を願う遺族「やり続ける」

三重県松阪市で、14年前の11月20日、行方不明になっていた男性がその後遺体で見つかった未解決事件。遺族は今も、“時効の壁”と闘っています。
「決まって近い日になると、兄が夢の中に出てくる。会いたいという気持ちが強いです」(敦さんの弟・一瀬剛史さん)
仲の良かった4兄弟は、三男・敦さんをある事件で失いました。
32歳だった敦さんの行方がわからなくなったのは、14年前、2011年の11月20日の夜のことです。
三重県松阪市の近鉄伊勢中川駅から、当時勤めていた会社の寮に向かうところで足取りが途絶えていました。
翌年の3月、約20km離れた山林で、敦さんは遺体となって見つかりました。
遺体の状況などから、ひき逃げの可能性が浮上。
警察は、敦さんが駅から寮に向かう道中で車ではねられた後、何者かに山林まで運ばれて遺棄されたとみています。
「敦の無念を考えたら『悔しい』しかない」(敦さんの兄・一瀬信臣さん)
「どうせなら…ひいた所で、そのまま逃げてもらったほうが、こんな所にわざわざ運んで来ないでも」(敦さんの弟・剛史さん)
2021年に容疑を切り替え延長も…時効成立まであと6年

敦さんの遺体が発見されたのは、行方不明から約4カ月後。残された証拠も、時間の経過とともに乏しくなっていました。
警察は、死体遺棄や、ひき逃げの疑いで捜査を進めてきましたが、その時効はすでに成立。
2021年、時効が「20年」となる「保護責任者遺棄致死」に容疑を切り替え、捜査が続けられています。
時効は延びたものの、解決せぬまま時が経ち、時効成立まであと6年。
兄弟とともに事件の解決を願って活動してきた母の要子さんは、「容疑者逮捕」の知らせを聞くことなく、2022年に亡くなりました。
「母は本当に無念だったと思います。『私の目の黒いうちに犯人が見つかってほしい』という願いだったので、それもかなわず先立ちました」(兄・信臣さん)
解決を願い活動を続ける日々で、今年は状況が少し違う

「情報提供のお願いをしています」
20日夕方、兄弟の姿があったのは、敦さんの最後の足取りとなった伊勢中川駅。
合わせて600枚の情報提供を呼び掛けるチラシを配りました。
これまでに寄せられた情報提供は54件。ただ、今年は1件のみだったといいます。
「犯人に出頭してもらって、真実を知って、弟がどのように亡くなっていったかを知りたい」(兄・信臣さん)
事件解決を願い、活動を続ける日々。今年は状況が少し違います。それは10月、目にしたニュース。
「被疑者を殺人罪で通常逮捕した」(愛知県警の会見)
同じく未解決だった名古屋市西区の主婦殺害事件。
26年越しに、「容疑者逮捕」という事件の大きな局面を迎えました。
兄の信臣さんは、「心強さ」を感じたと語ります。
「犯人が見つかっても、敦は生き返ってこない。それでも活動を続けていくことに意義がある。本当に心強かった。ああいうニュースを見ると、まだまだやり続けていこうと」(兄・信臣さん)





