【土砂崩れ】懸命の救助続く 女性3人を救助も70代と30代の男性2人の行方は依然わからず 愛知・蒲郡

8月27日午後10時10分ごろ、愛知県蒲郡市竹谷町にある住宅で、「土砂が崩れ、家族5人が生き埋めになっている」などと、この家に住む女性から消防に通報がありました。救急車や指揮車など6台が出動し、消防などが午後11時35分に救助活動を開始しました。
現場は、蒲郡市竹谷町大久古にある木造2階建ての住宅で、この家には70代の両親と40代の長女と次女、それに30代の長男の5人が住んでいたとみられています。
住民5人のうち3人は救助「生きて救助されてほしい」

近隣住民:
「この家にいる人に電話かけてもつながらなかったので、下敷きになっていたんじゃないか。(山の斜面は)滑らかなっていて、大雨で崩れるような場所じゃない」
通報から約2時間後、28日午前0時21分、長女とみられる40代の女性が救助されました。長女とみられる女性は病院に搬送され、意識はあり、命に別状はないということです。
通報から約12時間後に救助された40代の次女とみられる女性は、病院に搬送され、重傷です。通報から約16時間後の午後2時4分、現場から3人目が救助されました。救助されたのは70代の母親とみられ、病院に搬送されましたが意識不明の重体だということです。
この家族を知る近隣住民からは心配の声が相次ぎます。
近隣住民:
「きのうの27日朝も家の前で話をしました。みかん農家だから、みかんの消毒の話をして。生きて救助されてほしいね」
70代の父親と30代の長男の2人の行方が分からず

土砂崩れの現場はJR蒲郡駅から2.7キロほど北西に位置する、山あいの集落です。土砂崩れに巻き込まれた家屋のすぐ西側には、山の斜面があります。また、この山の斜面に沿って複数の家屋が立っています。
付近には土砂災害特別警戒区域に指定されているところもありますが、土砂崩れの現場は指定されていませんでした。ただ蒲郡市は、付近でさらなる土砂崩れが起きる可能性があるとして、8月28日午前7時に大久古地区の14世帯37人に避難指示を出しています。

救助活動が続けられている現場の様子を聞きました。
記者:
「私は今、土砂崩れに巻き込まれた住宅から約300メートルほど離れた場所にいます。現場はきょう、時折激しい雨が降る時間もありましたが、現在雨は止んでいて晴れています。
消防などによりますと、現在、70代の父親と30代の長男の2人の行方が分かっておらず、現場ではいまも消防、自衛隊、警察、合わせて100人以上の体制で救助活動が続けられています
現場で、2人の姿が確認できているのかどうかも含め、2人の安否に関する情報は入っていません」

「斜面が崩れ落ち、民家を押し出してしまっています。近隣住民の方に話を聞いたところ、生き埋めになっているとみられる70代の父親はみかん農家で、土砂崩れが起きた場所にはみかん畑があったといいます」
では、土砂崩れ発生時の蒲郡市内の雨はどうだったのか。気象予報士の上野高明さんに解説してもらいます。
現場は活発な雨雲が発生しやすい状況 1日で8月平均を超える雨量

気象予報士 上野高明さん:
「きのう27日は、愛知県の東三河から静岡県に活発な雨雲が発生しやすい状況でした。西にある台風からの湿った空気と、東にある高気圧の湿った空気が流れ込むような場所だったんです。
26日月曜日の夜から27日いっぱいの降水量は、138.5ミリと8月の平年値124ミリをわずか1日程度で超えました」
土壌雨量危険度では黄色の「注意」レベルだった

「さらに土の中に雨水がどれくらい含まれているかを示した土壌雨量危険度を見ていきます。赤黒いほど危険度が高いです。土砂災害が起きた午後10時ごろ、新城市や田原市の方が赤色でした。蒲郡は黄色の注意というレベル。それでも土砂災害は起こりうるんです」
“大雨注意報”でも、土砂災害には注意が必要です。がけなど危険な場所には近づかないようにしてください。