
子どもの自殺を防ぐ居場所づくり 異変を感じたら「まずはコミュニケーションを」

愛知県の公立の小中学校の多くでは、1日から新学期です。夏休み明け、増える傾向にあるのが、子どもの自殺です。子どもを守るためには、その居場所づくりが重要になるといいます。この地方の取り組みは?

名古屋法務局では、8月27日から2日までの1週間を「こどもの人権相談」強化週間として、相談ダイヤル「こどもの人権110番」の受付人数を増やして対応しています。
1日の午前中は、保護者から子どものいじめに関する相談など、3件が寄せられました。
厚生労働省が作成した統計によりますと、9月1日をピークに8月後半から9月前半にかけて、子どもの自殺が多い傾向がみられます。
子どもの変化に気づくには…

夏休み明け、保護者が悩みを抱えている子どもの変化に気づくにはどうすればよいのでしょうか?
「眠れないとか、ご飯が食べられなくなる前に、目を合わさなくなるとか、口数が少なくなるとか、不機嫌とか。そういう兆候がまずあると思うので、普段からすぐそういった兆候に気づけるように、何げない日常会話をすることが大事」(人権擁護委員 松井潤子さん)
名古屋駅前でも“子どもの居場所”づくり

一方、名古屋駅前でも“子どもの居場所”づくりが――
「全国こども福祉センターといって、子どもたち、若者が中心で声かけ活動。交流の拠点を作っている団体です」(愛知文教女子短期大学 荒井和樹准教授)
こちらは、名古屋を拠点に活動するNPO団体。
毎週土曜日の夕方から夜にかけて、名古屋駅の西側の広場に集まり、子どもたちへの声かけを行っています。
子どもたちの自殺や孤立、非行を防ぐためです。
「毎週土曜日、あそこにいけば着ぐるみのメンバーと会える、誰かがいる。子ども若者が集っている場所で活動することが必要だと思い、施設ではなく路上で活動するようになりました」(荒井准教授)
まずはコミュニケーションを

活動で重視しているのは「課題解決」よりも、「つながり」や「安心」。
子どもに異変を感じたときは、理由を問うよりも、まずはコミュニケーションをとってほしいといいます。
「言葉だけでどんどん踏み込んでいくと、暴力的に感じる子もいる。『なんで信頼関係もないのに、いろいろ聞いてくるの』と。自分の得意なもの、あるいはその子の好きなものでコミュニケーションをとる。だから一緒に過ごすということを大事にしている」(荒井准教授)
この団体には、かつては声をかけられる側だった人も参加しています。
「約6年前、活動場所の前を通った時に当時の大学生メンバーに声をかけられて。今は毎週欠かさずに来ている」(参加者)
「自分は1人で(学校で)あまりなじめなくてみんなと。この辺をうろうろしている時に、この団体に声をかけてもらって、同じ気持ちの人たちをなくしたいという気持ちで始めた」(参加者)
同じ悩みを抱えていたからこそ、活動の重要性を感じています。
「他の人に負けないくらい、みんなにこの活動を知ってもらいたい。そのためには、自分が主になって動けば誰かは見てくれる。その思いで声をかけています」(参加者)