もし「イ・ジェミョン氏」が韓国大統領になったら　どうなる慰安婦問題や徴用工問題　李相哲さんに聞く

4月10日から名古屋－ソウル線の運航を開始したのはLCC＝格安航空会社のピーチ。運賃は片道5780円からで、1日1往復運航です。10日の午後1時半すぎに金浦空港に向けて出発した第1便は、ほぼ満席となる人気ぶりでした。

中部国際空港によると、距離の近さや欧米に比べ円安の影響が少ないことなどを理由に韓国への旅行需要は好調に推移しています。一方で、韓国情勢は混迷を深めています。

韓国情勢は混迷

2024年12月に「非常戒厳」を宣言した尹錫悦氏（ユン・ソンニョル）の弾劾裁判の行方をめぐり、韓国国内は揺れていました。2025年4月4日、ユン氏は大統領職を即時失職し、6月3日には大統領選挙が行われることに。そして4月10日、韓国の最大野党「共に民主党」の前代表、李在明氏（イ・ジェミョン）が大統領選への出馬を正式に表明しました。

韓国の世論調査では李在明氏に対して34％の支持があり、与党候補を大きく引き離しています。李在明氏とは、どんな人物なのでしょうか。今後の日韓関係の行方について龍谷大学教授で朝鮮半島情勢に詳しい李相哲さんに話を聞きました。

裁判を抱えている政治家が支持率トップに？

李 相哲教授：
「たたき上げの政治家ですね。韓国では“有能な政治家”と評価する人たちもいます。ですが、韓国の国民の6割近くが嫌っているというか、有権者の中で『好感を持てない政治家1位』をずっとキープしている方でもあります」

それを裏付けるような情報もあります。李在明氏は公職選挙法違反の罪に問われた裁判で、1審は有罪、2審では無罪判決を言い渡されています。これ以外にもいくつかの裁判を抱えている状況です。

――裁判を抱えている政治家の支持率がトップになり、6割近くの方があまり好感を抱いていないにもかかわらず、これだけ支持を集めている状況なのですね。

李 相哲教授：
「民主党を支持する人たちが、李在明氏も支持しています。非常に分かりやすく言えば、李在明氏に対する支持というよりは、民主党に対する支持とみていいのかもしれません」

――今後、実際に李在明氏が大統領に当選する確率はどれくらいありますか。

「非常に高いです。ただ注目すべきは、2024年以来李在明氏に対する支持率はずっと34%台で推移しています。本当は尹錫悦（ユン・ソンニョル）大統領が罷免されると、期待が高ければ李在明氏に支持率は動くはずです。しかし、なかなか34%台を抜け出せない。韓国ではやはり5割近くの支持を取り付けないと大統領にはなれません。そこが李在明氏にとっては課題だと思います」

李在明氏の当選の確率は「非常に高い」

――どんな点から、当選の確率が高いと思われますか。

李 相哲教授：
「与党、国民の力ですね。候補者を一本化するのが非常に難しいと思います。例えば単純計算で3人が大統領選に立候補をして最終的に戦えば、34%でも当選の確率は高くなります。そのため与党が一本化すれば、李在明氏が大統領になれる確率は低くなる、と思います」

――2025年は日韓関係が節目の年でもありました。李在明氏が大統領になったと仮定して、日韓関係はどのようになりそうですか。

「民間レベルでの日韓関係は、大きく揺れ動くことはないと思います。すでに日韓の交流がかなり多いので、それが一気に変わることなどはないと思います。一方で、李在明氏は政治状況によって発言を変えます。さらに反日的な姿勢をずっと貫いてきた政治家です。そのため、状況によっては外交を国内政治に利用したり、国益より自分の人気を優先したりするような政治を行う可能性が非常に高いと思います」

「日本は敵性国家である」反日姿勢の李在明氏

――これまでの李在明氏の発言からも、反日姿勢を感じましたか。

李 相哲教授：
「2024年12月まで、李在明氏は“反日一辺倒”だったと言ってもいいのかもしれません。例えば『日本は敵性国家である』と。また、日米韓が合同訓練を行った際は『日本の自衛隊の軍火が、韓半島を踏みにじることになるかもしれない』。ほかにも、福島第一原発の処理水放流に関しては『これはテロだ』と非難していました。

興味深いのは、24年に尹（ユン）大統領が非常戒厳宣言をして弾劾された際、急に発言を変えたことです。『日本に個人的には深い愛情を抱いている』と発言していました。

これは彼の哲学が変わったというよりも、34%以上の多くの支持を得るため、無党派層を取り込むために発言を変えたとみられます」

李在明氏が今後、反日感情や姿勢をどこまで見せるのか、注目が集まります。