
再開発ビルへの入居は未定…70年続いた“名古屋駅前の顔”名鉄百貨店が26年2月に閉店へ 外商事業は継続


名鉄(名古屋鉄道)は2025年3月24日、名古屋駅一帯の再開発事業について概要を明らかにしました。これを受けて「名鉄百貨店」は25日、2026年2月で閉店することを発表しました。名鉄百貨店のこれまでを振り返りました。
■社長「胸の痛む思い」…名鉄百貨店が閉店へ
25日、名鉄百貨店は2026年2月28日に閉店することを発表しました。再開発で建設される新ビルに百貨店が入るかは未定で、70年続いた「名古屋駅前の顔」の一つが幕を下ろすことになります。

名鉄百貨店の石川仁志社長: 「2026年2月28日をもちまして、本店の店舗営業を終了することを決議いたしました。残念であり、胸の痛む思いであります」 70代: 「寂しいことは寂しいですけど」 60代: 「閉店はちょっと残念なのでショックです。もう1回、百貨店が新しく再生していただけたらありがたいなと思いますけど」
■70年前に東海地方初のターミナルデパートとして誕生
名鉄百貨店は1954年、東海地方では初の「ターミナルデパート」として誕生しました。

名古屋駅を利用する鉄道沿線の住民をはじめ、多くの客で賑わい、お歳暮シーズンには客が殺到しました。

1967年には、本店隣にファッションビル「メルサ」が開業。

そして1972年には、若者向けの「セブン館」もオープンするなど、時代に合わせてエリアを拡張していきました。

「水着ショー」が行われるなど、バブル景気突入を予感させるような、バブリーな世界観がありました。
■「世界に3台だけ」の垂直エスカレーターも
床に潜るような手すりが特徴の「垂直エスカレーター」は、世界で3台しかないといわれていて、これを見るために訪れるエスカレーターファンも多いといいます。

過去にはシャチホコに、エビフリャー、きしめんのネクタイを販売するなど、地元に根差した営業手法で、訪れた客を楽しませてきました。
■外商事業は継続…名駅地区のランドマーク「ナナちゃん」は
中でも力を入れてきたのは、売上の25%を占める外商事業です。 外商事業は百貨店の閉店後も続けることを決めていて、名鉄百貨店に近くのビルに「エムズロイヤルギャラリー」を2025年5月にオープンすることにしています。

そして名駅地区のシンボル「ナナちゃん人形」。元々は「セブン館」にちなんで名づけられましたが、待ち合わせの名所となり、今では映えスポット化しています。

ナナちゃんの保存方法は、親会社の名鉄が検討していますが、名鉄百貨店の石川社長も…。 石川社長: 「ナナちゃん人形に対する思いとしては、ナナちゃんは6メートルの大きなマネキン人形なんですけども、それを誰かと語り合いながら心を通わせる、動かすのがナナちゃんだと思うんです。今のあの場所だからこそという思いはあります」
■従業員はグループ企業で受け入れへ
惜しまれながらも閉店する名鉄百貨店。429人いる従業員についてはグループ企業で受け入れるなど、可能な限り再就職を支援するとしています。

石川社長: 「しっかりと名鉄百貨店がいいお店として皆さんの記憶に残るよう、来年までしっかりと営業したい。新しい商業施設で皆さんが名鉄百貨店の記憶とともに、商業施設で買い物を楽しんでいただけることを心より願います」