
シャッター通りの“救世主”とは…名古屋城から車で3分「僻地みたい」だった商店街に新店舗続々オープンのワケ


名古屋城からほど近い「柳原通商店街」が、静かな変化を見せています。かつて“大須より人が歩いた”と語られたこの商店街に、再び人の流れが戻りつつあります。大型アリーナの誕生と若者の活気が、昭和レトロな街並みに新しい息吹をもたらしています。
■「大須より人が歩いていた」…昭和レトロな商店街
名古屋城から車で約3分の場所にある、名古屋市北区の柳原通商店街。南北約600メートルにわたる通りは、一見すると閉店やシャッターが目立ち、かつての賑わいは感じさせません。

精肉店の店主: 「ここは寿司屋さん。コロナ禍に閉めちゃって。その左は喫茶店で、みんな同じ時期にやめた。まさにシャッター街です」 電気店の店主: 「私が子供の頃は、大須より人が歩いていた」 江戸時代には、名古屋城の警護をする武士たちの屋敷が並び、「柳原街道」と呼ばれていました。昭和中期には120軒以上の店が軒を連ね、名古屋でも有数の商店街に発展したといいます。

電気店の店主: 「今まで瀬戸電に乗っていたけど、地下鉄ができて向こうに行っちゃった。僻地みたいな感じになっちゃった」

地下鉄の開通をきっかけに、人の流れが大きく変わってしまったといいます。現在営業しているのは46店舗と、全盛期の半数以下まで減少しました。
■国内最大級「IGアリーナ」開業が転機に
しかし、最近は新しい店が次々とオープンしています。その理由の一つが、2025年7月に完成した国内最大級の多目的アリーナ「IGアリーナ」です。

大阪から来た男性: 「井上尚弥の試合を見に来ました」 取材の日、「特製辛味噌ラーメン」(1280円)や、濃厚味噌をクリーミーに仕立てた「味噌ラテらーめん」(1100円)など、ユニークなメニューが揃う「麺.れおん」には行列ができていました。

店主: 「今日はアルバイトも増員して夜にも備えています」 スタッフを増員し、万全の体制で営業していました。このお店だけではなく、商店街全体に人があふれ、活気づいています。

滋賀から来た男性: 「ごはん食べようと思って、ネットで近場で探しました」 長野から来た男性: 「IGアリーナ(の近く)で調べて」 柳原通商店街の理事長: 「今、IGアリーナから一番近い商店街と言われています」 アリーナから最も近い商店街として、利便性の良さからイベントの前に多くの人が立ち寄るといいます。

2024年にオープンした「ダイニング キチホウシ」では、IGアリーナでのイベントに合わせて専用メニューを用意していました。 ダイニング キチホウシのスタッフ: 「尚弥勝つ!!みそカツ定食です」

ボクシングの試合に合わせ、井上尚弥選手が“勝つ”ようトンカツを使った「尚弥勝つ!!みそカツ定食」を提供。価格はナオヤにちなんで708円です。 店主: 「1年前にIGアリーナできるのは分かっていたので、(この店舗を)借りました」 アリーナ効果を見越して開店。おかげでイベントがある日は大盛況といいます。
■IGアリーナの隣に広がる2つの大学
この商店街に人が増えているのは、IGアリーナ以外にも理由がありました。正午を過ぎると、店の前には学生たちの姿が。 大学生: 「大学が近いので。この辺で暮らしている学生も多いです」 IGアリーナのすぐ隣には、「愛知学院大学」と「名古屋造形大学」のキャンパスが並んでいます。そして、この食堂に学生が集まる理由がもう一つ。

大学生: 「これで390円」 別の大学生: 「ご飯大盛りにしてくれる」 ボリューム満点の定食が400円以下と破格。キャンパス内の学食よりもコスパが良いと、学生たちに愛されています。

まだ閉まっている店は多いものの、今後も続々と新しい店ができる予定だと柳原通商店街の理事長は話します。アリーナ効果と大学の存在が “柳原通”に再び人を呼び戻しています。 2025年10月6日放送