ノーベル物理学賞の有力候補 名城大の飯島澄男終身教授 「カーボンナノチューブ」を発見

日本人の”快挙”は続くのでしょうか。7日はノーベル物理学賞の発表です。長年”有力候補”と言われている名古屋の研究者、期待が高まります!
名古屋市天白区の名城大学。数々のノーベル賞受賞者を輩出しています。
2014年に物理学賞を受賞した、特別栄誉教授の赤崎勇さんと天野浩さんは「青色LED」を発明。
2019年には、「リチウムイオン電池」を開発した吉野彰終身教授が化学賞を受賞しました。
そして、その名城大学には長年にわたり、ノーベル賞の“有力候補”と期待されている人がいます。
「カーボンナノチューブってこんなものです。真っ黒な全然魅力のない材料、“すす”です」(名城大学 飯島澄男終身教授)
飯島澄男終身教授、86歳。
飯島さんは1991年、炭素でできた細い筒、「カーボンナノチューブ」を発見しました。
この真っ黒な物体は電気をよく通し、軽くて、強度もあることから、「夢の新素材」ともいわれています。
飯島終身教授の日課は?

80歳を過ぎている飯島さんですが、ある“日課”があるんです。
今も雨の日以外は毎日、大学まで自転車で通勤しているといいます。
長さ100mを超える坂も、すいすいのぼっていきます。
「運動のため、これだけしか運動しないから。あとはそこに座って実験しているから、運動不足」(飯島終身教授)
自転車通勤による”体力づくり”を続け、今も大学内で研究に没頭しているという飯島さん。
その研究で注目される、「カーボンナノチューブ」。
近い将来、私たちの生活をより良くしてくれるかもしれません。
新素材が導くのは、身近な家電の“革新”です。
私たちの生活にどんな影響が?

カーボンナノチューブ、私たちの生活にどんな影響があるのでしょうか。
名古屋市にある特殊鋼の専門商社「山一ハガネ」。
こちらに、カーボンナノチューブを使った製品があるといいます。
「冷蔵庫などに使われる熱交換器。カーボンナノチューブを使ったCASTという処理を済ますとこのようになる」(山一ハガネ 主席研究員 田島秀春さん)
山一ハガネが開発した、表面処理の技術。
カーボンナノチューブによって作られる100万分の1mm、ナノレベルの凹凸が高い放熱効果をもたらすといいます。
Q.どんな家電に応用できる
「冷蔵庫、エアコン、乾燥機付きの洗濯機など」(田島さん)
Q.熱を使うものはすべて応用できる
「その通りです」(田島さん)
電力効率の良さが「省エネ」にもつながる

エアコン暖房を設置した空間を想定し、どれだけ温度が上がるか実験します。
開始から1時間40分後。カーボンナノチューブの処理をした方は、処理をしていない場合と比べ、「1.7℃」高くなっていました。
この電力効率の良さが、「省エネ」にもつながるとして、家電の大手「ハイアール」が注目。
2027年に、この技術を活用した冷蔵庫の販売を目指しているといいます。
私たちの身近な存在になりつつある、カーボンナノチューブ。
ノーベル賞受賞の期待感も高まります。
「日本発の工業的な素材がノーベル賞をとれば、技術者としても非常に励みになる。ぜひとっていただきたい」(田島さん)