公明党愛知代表、連立離脱に「支援者は“いい決断”」 新総理は誰に?ジャーナリスト青山和弘さんに聞く

自民・公明の26年にわたる連立が突然幕を閉じたことに、東海地方の議員からは様々な声があがっています。
公明党の愛知県本部代表・里見隆治参議院議員は党の新たな役割を模索しています。
「今後は是々非々で、やるべきことはしっかりと協力をする。しかし異論があれば与党・野党の間に入って、調整の軸として、しっかり協議に加わっていきたい」(里見参院議員)
支援者からは、こんな声も――。
「身近な支援者の皆さんからは『大変よくやった』『いい決断をしてくれた』と。『すっきりした』という前向きな答えをもらっている」(里見参院議員)
自民党県連会長「半分不安も」

自民党議員は、複雑な心境のようです。
地元・春日井市の秋まつりを訪れた、自民党愛知県連の丹羽秀樹会長。
有権者からは――。
「本当に同じくらい、『自民党だけでもいけるよね』という応援の声と、『公明党と別れてしまって大丈夫?』という声があるので、自分の中では半分不安も。こんな自民党でも頑張ってと言ってもらえるなんて、非常にありがたいなと。期待を捨てたものではないのかなと、明日からの政治活動に活かしていきたい」(丹羽会長)
地元で協力関係を築き上げてきた公明党とは、「これまでの信頼関係をもとに行動したい」と確認したといいます。
対する野党・国民民主党の古川元久代表代行は「政治空白」が続くことに危機感を強めています。
「国民生活を、自民党の混乱の巻き添えにしてもらいたくない。一日も早く国会を開いて、議論をしてもらいたい」(古川代表代行)
野党の動きが活発化、今後の焦点は

公明党の連立離脱を受け、野党の動きが活発化してきています。
立憲民主の野田代表が、国民民主・日本維新の会に党首会談を呼びかけているという状況について、政治ジャーナリストの青山和弘さんに聞きました。
「3党がもし一緒になれば、自民党の196議席を上回る、つまり総理大臣指名選挙で勝つことができるという状況になった。野党第1党の立憲民主党が、党首会談を呼びかけるのは、ある意味当たり前だと思う。維新・国民も党首会談をやる方向になっているので、そこでどういう話し合いになるのかが、今後の政局の最大の焦点と言っていい」(青山さん)
「玉木総理」の現実味は?

Q.立憲民主党幹部からは、首班指名で「玉木代表」と書いてもいいというような話も出ています。
「野田代表は前回、石破総理を首班指名した際の反省がある。あの時は他党に『野田と書いてください』とお願いしに行ったが、その際みんな『野田さんとは書けない』と言って、結局石破総理が選ばれることになった。今回はそういうことはしないで、最初から『あなたのところでいいですよ』というふうに言うと。そうすることで合意を取りやすくする、要は名を捨てて実を取る。例えば玉木代表が総理大臣になっても、財務大臣や外務大臣は立憲民主党から出すことで政権交代を図りたいという意思の表れだと思う」(青山さん)
Q.「玉木総理」誕生が現実味を帯びてきたということでしょうか?
「そんなに簡単なことではない。立憲・国民・維新の3党が一緒になって、首班指名で自民党に勝つことができても、衆議院の過半数は超えない。そうすると少数与党になって、法案を通そうとすると更に他の野党と連携しないといけない非常に苦しい政権運営になる。玉木代表としては、仮にここで総理大臣になっても少数与党の総理では、自分の理想は実現できないという思いがあるし、やはり立憲民主党と別々の党である理由があるので、そういったライバル争いの中で、なかなかこの話には乗りにくいのが現実。まだまだ実現の可能性は高くないとみている」(青山さん)
Q.国民民主党としては、自民と組んでも、立憲・維新と組んでも過半数には届かないということですね。
「そうなんです。やはり過半数を超えた政権じゃないと、連立を組んだとしても、どんどん政策を進めることはできない。公明党さえ離脱していなければ、自公と国民というのはあり得たが、公明党が離脱したいまとなっては、自民党と組むのも得策ではない。かといって野党側と組むのも得策ではない。例えば、野党に転じた公明党が乗ってくれば過半数を超える。こういう座組みができれば別だが、今の段階では“うま味”がない」(青山さん)
「政局はびっくりするようなことが」

Q.想定される今後のシナリオは?
「立憲の安住幹事長がいろんなことを考えている。例えば国民民主党が離れていったとしても、公明党と組んだら自民党の議席数196は超える。じゃあ斉藤代表を首班にしてはどうかとか、自民党から誰かが割ってこないかとか。いまは高市総裁は自分を支持する人たちで固めた執行部を作って、それに不満を持っている議員は多い。誰か自民党から出てきてくれないかと考えて実際に動いているようだが、これはこれで簡単ではない。そのため首班指名までの間に、そういった工作ができるかどうかというのは、まだまだ見通せないという状況です」(青山さん)
Q.高市総理の誕生に落ち着く可能性は?
「野党連携が難しいという状況では、やはり第1党は自民党なので、高市総理になる可能性が一番高いと思う。ただ政局というのは、これまでも自社さ政権などびっくりするようなことが起こる。予断を持たずに目を凝らしていく必要がある」(青山さん)
Q.高市総裁自身は、今この動きをどう予想している?
「自民党さえ割れなければ、新総理になる可能性は高い。新総理になったあと、今の超少数与党という局面を打開するには、どこかのタイミングで解散総選挙で自民党の議席を増やすということが念頭にある。ただすぐにやるのは難しいので、ガソリン暫定税率廃止と補正予算を通し、年末年始で解散総選挙みたいなことがあり得るのではないか。少数与党のまま来年の通常国会になると、またいろんな野党と連携しながらという非常に複雑で難しい交渉になるので、追い込まれる可能性がある。やはり自民党の議席を一定程度増やし、例えば国民民主党との連立だけで過半数を超える、あるいは単独過半数になればしめたもの。ただ公明党が離脱した中で、選挙に打って出ることができるのか、これは高市さんの手腕と発足時の支持率が非常に大きいと思う」(青山さん)
新たな総理は、10月20日以降で調整されている臨時国会の中で決まる見通しです。