東海3県初の特定技能外国人「バス運転士」はインドネシア人 人材不足に悩むバス業界の救世主になるか

運転士不足の課題を抱えるバス業界で、外国人運転士を採用する動きが出てきました。名鉄バスが狙いを絞ったのはインドネシアです。
人事担当者:
「採用辞令、ドゥウィ・ハルジャント。豊田営業所運転士、試雇を命ずる」
名鉄バスに運転士として入社したのは、インドネシアから来た3人の男性です。2024年3月、在留資格の1つである「特定技能1号」に自動車運送業が追加されたことで、外国人をバスの運転士として雇用することができるようになりました。特定技能制度でのバス運転士の入社は東海3県では初めてです。
8月5日に入社した3人は、バスの運転に必要な二種免許の取得などを経て、1年以内の運転士デビューを目指すということです。
アッサム・アル・アンタルさん:
「安全第一を心がけ、お客様に信頼されるプロのドライバーになりたいと考えている」
名鉄バスは、2024年11月に採用担当者をインドネシアに派遣。会社説明会や面接などの採用活動を行いました。
名鉄バス人事部人材採用課 入江直美課長:
「(インドネシア人は)実技研修の間にも隙間時間に学習している人とか、日本の受験生みたいにしっかりやっていただけるような印象だった。将来的には(バス運転士は)かなり不足をしていくであろうことが見込まれる。前もって外国人採用に取り組んでいきたいと考えた」

日本バス協会によると、バス運転士は2019年度には13万2000人いましたが、新型コロナの流行で急減し、2024年度時点では2万1000人が不足していると見られています。今後は高齢化などの影響でさらに減少し、不足者数は2030年度に3万6000人になる見込みです。専門家は…
立命館大学 近藤宏一教授:
「コロナで仕事の将来が見えなくなって、辞めた人が非常に多いっていう実情がある。コロナ後、戻ってるかっていうと、必ずしも戻ってないっていうのが現状なので、引き続きその数千人から今後は1万超えるレベルでの人手不足が続くだろうというふうに見て間違いはないだろうと思います」
運転士不足解消に向けて、特定技能外国人を採用するバス事業者が現れ始めましたが、近藤教授は注意が必要だと指摘します。
立命館大学 近藤宏一教授:
「バスのような非常に高度な運転能力を必要とされるもので、例えば出身国で長らく大型車の運転をしてこられた方であったとしても、左ハンドルの国から右ハンドルの日本にこれるかっていうところで言えば相当やっぱりハードルあると思うんですね。だから即戦力として使えるわけではないということを意識しないとうまくいかないだろうなというふうに思います」
そこで名鉄バスは、日本のバス運転士として適応できる人材を求めて、特定技能外国人の紹介などを手掛けるケイエスグローバルと契約。勧められたのはインドネシア人でした。
ケイエスグローバル 日川研一取締役:
「(ポイントは)道路事情。日本と同じ左側通行、右側ハンドルというようなメリットがあることと、日本の自動車が90%以上のシェアを占めている(2024年時点)ので、日本の自動車に慣れていることもメリット」
ケイエスグローバルは2024年、インドネシアに自動車学校を設立し、日本のマナーや交通ルールを教えるなど、日本のバス運転士に適した人材を育成してきました。名鉄バスが採用したのはそのうちの3人です。名鉄バスは今後、3人の成果を確認したうえで、外国人採用の継続を検討していく方針です。