
竜のお膝元で“虎”や“燕”…愛知にあった“ドラゴンズじゃない球団”のファンが集う店 アウェイ感ゼロの空間に


名古屋にはドラゴンズ以外の球団のファンが集う“聖地”が点在しています。中区の「鉄板焼き居酒屋つくば」では阪神ファンが熱狂し、田原市の老舗「鈴木屋」ではヤクルト小川投手ゆかりの「ライアン丼」が人気。それぞれの店は、地域に根差したファンの交流拠点となっています。(2025年9月5日放送)
■店主と阪神ファンが作り上げる空間「居酒屋つくば」
阪神タイガースのファンが集まる名古屋市中区の「鉄板焼き居酒屋つくば」。店内は壁や天井、テーブルクロスまでタイガース一色で、名古屋とは思えない光景が広がっています。

両親が名古屋出身という兵庫県生まれの店主・犬飼潤さんは、35年前に名古屋に居酒屋をオープン。阪神ファンである店主のもとに、次第にファンが集うようになったといいます。 人気メニュー「浪速ねぎ焼き」(1000円)は、たっぷりのネギに豚肉をのせ、鰹節がおどる一品です。

店主の犬飼さん: 「野球好きはみんな一緒。みんなで喜びを分かち合うのが」 この日(9月3日)は、バンテリンドームで阪神と中日が対戦。応援にも熱が入ります。ファン歴60年の男性は、ドラゴンズファンの同僚と一緒に来店していました。 ファン歴60年の阪神ファン: 「ドラゴンズファンを応援しようと思って。沈み込んでいるから。まあ(優勝は)慣れていますから。2年前もやっているので、またかみたいな感じ」 セ・リーグを独走し、優勝も目前のタイガースのファンらしい余裕が漂います。

試合は序盤、タイガースがリードしていましたが、5回にドラゴンズの細川選手が3ランホームランを放ち逆転。店内には気まずい空気が流れ、試合はそのままドラゴンズが勝利しました。 試合は負けましたが、名古屋のタイガースファンには強い信念があるといいます。 ファン歴20年の阪神ファン: 「名古屋の阪神ファンが一番熱くて我慢強い。苦節18年、どれだけ辛くても、辛いと思わず球場に行けた」

90年代のタイガースはBクラスが9回という“暗黒時代”。2000年代は落合監督率いるドラゴンズに大きく負け越し、「ナゴドで勝てる気がしない」という言葉が流行ったほどです。それでも応援を続けてきたファンは「名古屋のタイガースファンは我慢強い」と語ります。 ファン歴50年の阪神ファン: 「マジック6ですから大丈夫。負けようが勝とうが優勝するので」 ファン歴40年の阪神ファン: 「今日の負けなんて気にしていません」

店主の犬飼さん: 「楽しく野球を観ていただけたら。負けたらテレビを消す、これは鉄則。勝ったら何回も野球ニュースを観て、それから寝る。それだけです」
■スワローズ小川投手も通った老舗「鈴木屋」
愛知県には他にも、球団ごとのファンが集う店があります。名古屋市東区にある楽しみながらお酒を飲めるバー「カラオケBAR hit」には、読売ジャイアンツのファンが集まります。店主自身が熱心な巨人ファンだといいます。

横浜DeNAベイスターズファンに優しい店もあります。中区・栄の「和ダイニング みつ橋」では、ベイスターズのグッズを持参するとドリンク1杯が無料になるという、球団公認の店です。

そして、東京ヤクルトスワローズのファンが集まるのが、愛知県田原市の和食の老舗「鈴木屋」です。創業100年を超えるこの店は、愛知県立成章高校から甲子園に出場し、現在はスワローズで活躍する小川泰弘投手の実家の近くにあります。

小川投手は小学生の頃からこの店に通っていたといい、その応援の気持ちを込めて考案されたのが「ライアン丼」(1000円)。小川投手のニックネームにちなんだ丼は、彼が好きな豚の味噌ヒレカツと鶏の唐揚げをのせたボリューム満点の一品です。漬物や味噌汁に加え、ちゃんとヤクルトも添えられています。「ライアン丼」を目当てに、スワローズファンが来店することもよくあるといいます。

女将は「やっくん(小川投手)が活躍するのが楽しみ。本人も帰省も兼ねて年に1回はお店にやってくる」と話します。 東海地方には、ドラゴンズだけでなく球団を超えたファンの交流が広がっています。 2025年9月5日放送