
店側「440円ももらっていいのかな…」中華そばの値段が令和とは思えない老舗店 安くて旨いが実現できるワケ


安くてうまい麺を提供し続ける愛知県一宮市の「西村麺業」の中華そばと焼きそばはどちらも440円と驚きの安さです。夫婦二人三脚で守り抜く自家製麺と手作りの味が、地元だけでなく遠方からも客を惹きつけています。
■素朴で飽きのこない一番人気の「中華そば」
愛知県一宮市の閑静な住宅地の中にある「西村麺業(めんぎょう)」。

2代目店主の西村茂雄さんと妻の由佳里さん夫婦が切り盛りしています。定番メニューは、自慢の麺を使った「焼きそば」に、毎朝手作りする「餃子」など。そして、店の一番人気がシンプルで美味しい「中華そば」です。

客: 「もう50何年か、安かったから昔から」 来店するのは、地元の常連客だけではありません。 客: 「名古屋から。近くにあったら毎日通うくらい。のど越しもよく麺がうまい」 「西村麺業」は1960年に創業。先代から受け継いだ製麺機は、今も現役です。お店の昼営業を終え、夕方から麺の仕込みを始めます。小麦粉など使う材料も創業当時のまま。その日の気温や湿度で水分を調整して麺を作っています。

生地の塩梅は手が覚えています。機械を通すスピードなどを調整して最高のコンディションに。次々と出てくる麺を、妻の由佳里さんが1食分に丸めて箱詰め。同じ姿勢で1時間。この日は1300食分の麺が完成する頃には、時計は午後9時を過ぎていました。

妻の由佳里さん: 「私たちが店を終わってから(麺作りを)やっていることをほとんどの人が知らない」 中華そばのチャーシューも手作りです。豚バラ肉の塊をフライパンで焼き、旨みを閉じ込めて特製のタレにつけて1時間煮込みます。 客: 「しょうゆと砂糖だけ、シンプルな味。あと肉のおいしさがいいですね」

鶏ガラベースのしょうゆ味のスープも手作り。たっぷりのお湯で自家製麺を茹でて、鶏ガラスープを合わせます。特製チャーシューにメンマ、ネギをトッピングすれば「中華そば」(440円)の完成。

令和とは思えない低価格。のど越し抜群の細麺に、やわらかいチャーシューがたまりません。
■トマトやリンゴを使った秘伝の自家製ソースをかけて
開店時間の午前11時。週1で通う常連客が“いつもの席”へ座り“いつものメニュー”を注文。中華そばを担当する妻の由佳里さんが慣れた手つきで素早く仕上げます。

客: 「昔ながらの中華、あっさり」 別の客: 「500円玉でおつりがくる。おいしかったですツルツルっといけました」 由佳里さん: 「本当は気が引ける。これで440円ももらっていいのかな」 茂雄さん: 「イチから作っているから安い。麺を他から仕入れていたらこの値段でできません」 焼きそば(440円)は、夫の茂雄さんが担当。焼きそばの麺は、茹でた後に油をからませ一晩寝かせて使います。豚肉とキャベツを入れて、ダシしょうゆで味付けすれば完成。お好みでトマトやリンゴ、玉ねぎなどに酢や砂糖を合わせた“自家製ソース”をかけていただきます。

客: 「ソースが少し甘いから、普通のソースと違う」 別の客: 「細麺で自家製ソースとからんでうまい」

手作り餃子(5個190円)もお値打ちです。また焼きそば麺(2玉200円)や中華麺(2玉+スープ280円)は、テイクアウトも可能で、食後に購入していく人も多くいます。
■もともとは自家製麺の卸売り
「西村麺業」は、1960年に茂雄さんの両親が一宮市の市場内で自家製麺の販売をしたのが始まりです。客から「その場で食べたい」と要望を受け、小さなカウンターで中華そばの提供を始めました。

茂雄さん: 「『安くてお腹いっぱいになってもらいたい』親はそれを誇りに思っていて。それが当たり前で育っているので、これが当たり前みたいな」 由佳里さん: 「お客さんが『ここの麺がおいしい』って言ってくれるのがほんと励みで。それが楽しみでやっています」 初代の“安くてうまい店”は地元で愛され、その思いは2代目に引き継がれました。 昼の営業が終わる午後3時。茂雄さんと由佳里さんは一緒に昼食。長年の味に変わりがないかをチェックします。

茂雄さん: 「続く限り頑張っていきたい」 機械も材料も、そして“安くてうまい”というモットーも創業当時のまま。夫婦二人三脚で店を守り続けます。 2025年9月1日放送