
「生で見ると恐怖感が…」岐阜県大野町でクマ目撃相次ぐ 隣町のマラソン大会では“爆竹”使って徹底対策

岐阜県大野町でクマの目撃が相次ぎ、住民の不安が高まっています。隣接する揖斐川町で開かれたマラソン大会では、爆竹を鳴らしてクマを遠ざけるなどの異例の対策が取られました。
■クマを目撃した住職「生で見ると恐怖感が…」
11月7日正午ごろ、岐阜県大野町にある来振寺で、体長およそ1メートルの成獣とみられるクマが出没しました。 住職の明星さん: 「山裾からクマが下りてきた。その後、シャッターの周りをうろうろしながら、3~4回頭突きをして。地面のにおいをかぎながら、エサを探しているという感じ」
クマを目撃した住職の明星良昌さんによると、駐車場に現れたクマはうろうろしながら境内に移動し、およそ2時間半居座ってから山に引き返していったといいます。 住職の明星さん: 「たまに立ち止まって上を見たり、たぶんエサを探しているというのは分かるんですけど」
寺の建物に被害はなく、けが人もいませんでしたが、目撃した時の恐怖感は今も残っているといいます。 住職の明星さん: 「生で見ると、恐怖感というか、すごく感じました」 事態を受けて、地元の猟友会などは、寺の西側の山に檻を設置しました。
■周辺でもクマ目撃相次ぐ…住民に不安広がる
10月28日、寺の近くの柿畑では、柿が食べられた跡や、クマのものとみられる糞も確認されました。 柿農家: 「こういう食い方です。食べてからだいぶ時間がたっているのでグチュっとなっているけど、新鮮な時は半分だけパカッと食べられていました」
さらに11月9日には、町内の別の場所でクマが目撃されていて、不安が広がっています。 柿農家: 「怖い、それは怖いわ。檻を仕掛けているそうなので、捕まるといいなと」 近所の人: 「すごく怖いです。今日もこの辺を散歩して帰ろうかなと思っていたんですが、やめようかなと」
岐阜県によりますと、11月10日までに寄せられたクマの目撃情報はあわせて886件に上り、過去5年間で最多となるペースで推移しています。
■爆竹を鳴らす徹底ぶり…マラソン大会で本格的なクマ対策
11月9日、クマが相次いで出没した岐阜県大野町の隣にある揖斐川町で、およそ5200人がエントリーした「いびがわマラソン」が行われました。
山道を走るコースもあるため、ランナーからは…。 参加者: 「一番の不安はクマです」 レース中にクマの出没も懸念されたため、揖斐川町は万が一の事態に備え、クマ避けスプレー7本を救護所などに配備。また、今では欠かせなくなったクマ鈴も60個ほど、大会スタッフのボランティアへ配布しました。
さらに、レース開始前にはクマに人の存在を知らせるため、山道のコースを1キロ間隔に区切って爆竹を鳴らす徹底ぶり。人命を守るためにできる対策を全て行い、無事に大会を終えました。 参加者: 「クマはいませんでしたよ。こんなふうに走らせてもらえるのは、すごい感謝しかありません」
■全国で相次ぐクマの出没と被害状況は
環境省によりますと、警察の通報や市町村からの情報でまとめた全国のクマの出没件数は、2025年度の上半期で2万792件でした。統計の残る2009年度以降、最悪のペースとなっていて、初めて上半期で2万件を超えました。
人身被害も各地で相次いでいます。 秋田県五城目町では9日、体長1メートルのクマに78歳の女性と50歳の女性が襲われケガをしました。新潟県新発田市でも9日、住宅の敷地内で住人の60代男性がクマに襲われ、左脇腹に軽いケガをしました。 岐阜県内でも、9月以降に立て続けに人身被害が4件あり、2024年の3件を超えています。





