小泉農水大臣「安心していただける結果だと」コメ 最低輸入量の“枠内”で拡大 農家の本音は? 日米関税合意

アメリカ政府が日米の関税合意の詳細を発表しました。トランプ大統領は「日本が
初めて自動車や米でアメリカに市場を解放した」とご満悦です。
【写真を見る】小泉農水大臣「安心していただける結果だと」コメ 最低輸入量の“枠内”で拡大 農家の本音は? 日米関税合意
東海地方の米農家の声を取材しました。
(大石邦彦アンカーマン)
「田園風景が広がる愛知県安城市に来ています。日米関税交渉の合意を受けて、農家の皆さんは、これをどう思っているんでしょうか。聞いてみます」
安城市の農家、稲垣巨樹さん。約65ヘクタールの農地の半分で稲作を行っています。
(農家 稲垣巨樹さん)
「穂はもう出ていて、白い“イネの花”がついています」
ことし4月に取材した時から立派に成長。順調にいけば7月下旬にこのコシヒカリは収穫予定だといいますが…
(稲垣さん)
Q.高温障害の影響は出ていない?
「今は出ていないが、大事な時期。実が膨らんでいく時期になるので、この時期に夜の気温が高かったりすると、高温障害が出てきてしまうのでとても心配」
また、コシヒカリ以外の収穫は先になり、9月ごろまでは暑さの影響が気になるといいます。
こうした中、7月23日に明らかになったアメリカ産のコメ輸入量を最低輸入量の枠内で拡大することについて…
最低輸入量の“枠内”で拡大 「良かった」
(稲垣さん)
「最初は“コメ市場開放”という話もあったので、どうなってしまうのだろうと心配はあった」
政府は「ミニマムアクセス」と呼ばれる仕組みで毎年、約77万トンのコメを海外から無関税で義務的に輸入しています。そのうち、昨年度はアメリカが34万6000トンと半分近くを占めていて、今回の関税交渉ではこの割合を今後、増やしていくことで合意しました。
(稲垣さん)
Q.枠内での話で、全体でコメが増えるというわけではない結果だったが?
「すごくいい結果なのかなと思う。コメ農家としても良かったのかな。安いコメが多く入ってきてしまうと、そちらにどうしても足を引っ張られてしまう」
Q.一方で、関税交渉の交渉カードの中にコメが組み込まれていたが?
「政治的な駆け引きに農業が使われていくのは、どうなのかなと思う。政府には現場で生産していけるような政策を打ってほしい」
「ほっとした」「守ってもらわないと辞める農家が…」
同じ安城市内の他のコメ農家の皆さんにも聞きました。
(農家 稲垣勝一さん)
「コメの輸入量が増えて、今のコメ価格に影響が出るのが一番不安だった」
Q.今回の日米交渉の着地点としてはどう?
「良かった、ほっとした。それくらいで収まってくれるなら」
(農家 加藤公健さん)
「『一安心』まではいかないけど、『ある程度大丈夫』かなと思う。守ってもらわないと、辞める農家が増えるだけ」
7月23日、小泉農水大臣は…
(小泉進次郎 農林水産大臣)
「さらなる(市場)開放では全くありません。農業者の皆さんに枠が増えると、さらなるコメが入ってくる、こういったことを赤沢大臣筆頭に食い止めていただいた。安心していただける結果だと思います」
小泉大臣はあくまで「枠内」でのアメリカからの輸入割合を増やすということであって、農業関係者は安堵するのではという認識を示しています。