犯行から26年“急転”逮捕劇 今年8月に「捕まってしまうと覚悟」 名古屋・西区 女性殺害事件

1999年名古屋市西区で女性が殺害された事件で新たな供述です。逮捕された女が今年8月になって警察に事情を聞かれたことについて、「捕まってしまうと覚悟した」と話していることが分かりました。

3日午前10時ごろ。
高羽航平さん:「何を聞かれるのかな、何を伝えればいいのかなというのが自分の中でもわかってないので、その辺が不安」
不安を口にする男性。高羽航平さん(28)です。
高羽航平さん:「逮捕から起訴に向けて、必要なステップなのかなと思うので、誠心誠意対応ができれば」
幼いころ、母親が被害者となった事件について、3日、警察から初めて事情を聞かれることになりました。

1999年11月13日、名古屋市西区稲生町のアパートの玄関先で、航平さんの母・高羽奈美子さんが刃物で襲われ殺害されました。
当時2歳だった航平さんは、部屋の中に居ました。
航平さん(撮影時3歳):
「知らないおばちゃんとけんかして死んだの。けんかしてママが死んだ。ママが死んじゃった」
警察は、B型の女が犯人とみて、のべ10万人以上の捜査員を動員して行方を追っていましたが、捜査は難航。
航平さんの父・悟さんは、いつか犯人を現場に立ち会わせるためアパートを借り続けてきました。

事件は未解決のまま、発生から26年を迎えようとしていました。しかし、10月31日事態は急転。
愛知県警 村上健司 刑事部長:
「発生から約26年の時を経て、被疑者を殺人容疑で通常逮捕いたしました」
殺人の疑いで逮捕されたのは、悟さんの高校の同級生・安福久美子容疑者(69)。
今年8月、警察が安福容疑者のもとを訪問。捜査関係者によりますと、このとき「捕まってしまうと覚悟した」と供述しているといいます。
そして10月30日、自ら警察署へ出頭。警察は、異例のスピードでDNA型の鑑定を進め、翌日の31日に逮捕に至りました。

高羽悟さん:
「意外すぎて実感が湧かない。何してくれたんだ!という感じですよね。おとなしい子だったからさ、想像できないもん、高校時代の感じからは」
逮捕の知らせを受け、仲間と集まっていた悟さん。
高羽悟さん:
「信じられないかもしれないけど、26年もたっているからホッとしただけ。犯人がわかっている被害者は、どう思うんだろうとずっと思ってきたけど、実際、自分がなってみたら全然実感がない」

逮捕された翌日、悟さんが待ち続けた日がやってきました。
記者:「名古屋市西区の現場アパートです。容疑者を乗せたとみられる車がアパートの方へ向かっていきます」
事件発生から9485日。容疑者立ち会いの下、現場検証が行われました。
高羽悟さん:
「きのうも知人が一緒にお酒飲んで祝ってくれたので、本当にみんなに優しくしてもらってありがたいです。自分が泣いてる場合じゃないので、しっかりしないと」
26年間、張り詰めていた緊張の糸が少しだけほぐれた瞬間でした。

逮捕の一報を受け、県外で暮らしている航平さんも名古屋へ帰ってきました。
高羽航平さん(28):
「26年間、音沙汰のなかった犯人が本当にきょう捕まったの?っていうのと、本当にその人犯人なのっていう気持ちが一番大きかったかなと思います」

11月2日に営まれた、奈美子さんの27回忌の法要。奈美子さんにはまだ容疑者逮捕について報告していないといいます。
高羽悟さん(69):
「まだ全然分かってないので、警察から詳しい事情聞けるのは起訴してからしかないと思っているので、(報告は)今月の20日すぎになるのではないかな」

法要が終わった約2時間後。安福容疑者の自宅では、警察による家宅捜索が行われました。
そして3日、安福容疑者の新たな供述が判明。奈美子さんに対して、「申し訳ないと思っている」と、謝罪の言葉を口にしていることが明らかになりました。





