清流と歩んだ半世紀の歴史に幕 岐阜・恵那市「澄ケ瀬やな」が9月末で閉業へ 組合員の高齢化進む

涼を感じることができる「夏の風物詩」。地元の人に支えられてきた場所が、その役目を終えることになりました。
岐阜県恵那市。川の清流と山に囲まれた「澄ケ瀬やな」。
豊かな自然に囲まれて川遊び。薪でじっくりと焼かれる香ばしいアユ。お盆シーズンの予約は満席で、14日も多くの人で賑わっていました。
「澄ケ瀬やな」は1985年に開業。 地域の人たちが運営し、アユ料理や五平餅、川遊びが楽しめる夏の憩いの場として親しまれてきました。
この“夏の風物詩”が、まもなく姿を消そうとしています。
「とにかく高齢化してきている。80歳以上の人がかなり占めているし、地元も人は増えないし、やめようということになった」(澄ケ瀬やな 松岡和美 副組合長)
今シーズンいっぱいで営業をやめることにしたのです。
実は「澄ケ瀬やな」では3年前からアユを捕まえて楽しむことができる「やな」本体の設置を断念していました。
「いったん天気が荒れると(川の水が)ここまできますからね。1週間以上かけて(やなを)作って一瞬で流されてしまうわけだから、みんなショックで。何回かあったので『じゃあもう(やなを)かけるのやめよう』と」(松岡副組合長)
営業は9月30日まで

現在は、川遊びができるように場所を整えています。それでも「澄ケ瀬やな」の名物、アユの塩焼きを目指して多くの人が訪れています。
薪の強い火で50分、じっくりと焼き上げます。外はパリッと香ばしく、中はふっくらとした仕上がりに。
開業当初から携わる組合長は…。
「始めたころは僕は若い方で、今は84歳です。寂しいっちゃ寂しいね。いい思い出にはなったけど」(澄ケ瀬やな 大島善量 組合長)
「澄ケ瀬やな」の営業は9月30日まで。清流とともに歩んだ50年に、静かに幕が下ろされます。
シーズンが終わればすべて解体されて駐車場もなくなり、川に下りる階段も撤去されるということです。